広島・秋山「痛い箇所がない分、余計に苦しい」 不振に自嘲気味も復調の兆し15打席ぶり安打

[ 2023年6月28日 05:00 ]

セ・リーグ   広島3ー2DeNA ( 2023年6月27日    マツダ )

8回1死三塁、秋山は勝ち越しの中犠飛を放つ(撮影・奥 調)
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 広島・秋山翔吾外野手(35)が復活のV打を放った。27日のDeNA戦で全3得点に絡む活躍。6回に4試合15打席ぶりの安打を右前へ運ぶなど、劣勢から2度にわたる同点劇に貢献すると、8回には決勝の中犠飛だ。7回2失点と粘った床田寛樹投手(28)の後を受け、登録即8回1イニングを零封したニック・ターリー投手(33)が3勝目。競り勝ったチームの連勝は3に伸び、貯金は今季最多タイの4となった。

 盟友・菊池の生還を見届けると、秋山は両手をポンと叩いて控えめに喜んだ。同点の8回1死三塁で決勝の中犠飛。代わったばかりの左腕・エスコバーの内角球に空振りしながらも、2球目の真ん中低めスライダーを巧みにはじき返した。

 「キク(菊池)が打ち、野間が送ってくれた。そのケースに感謝するしかない。凡打でもチームに少し役立った。勝って良かったです。凄く救われた」

 劣勢からの2度にわたる同点劇に貢献し、チームの全3得点に絡んだ。二塁打の菊池を野間が送った同じ初回1死三塁で、しぶとく同点の二ゴロ。6回1死一塁では4試合15打席ぶりの安打を右前へ運んで好機を広げ、坂倉の同点打を呼んだ。

 「久々に1本出て、自然に笑顔が出るかなと思ったけど、そういう感情にはならなかった。あまり手応えもないし、1本だけで喜んではいけない」

 チームの休養日だった26日の午前中。秋山は本拠地室内で懸命にバットを振った。練習の虫。開幕からチームで唯一フルイニング出場も続けている。蓄積疲労を憂慮する首脳陣からは、日曜日の試合後「明日は練習に来るなよ」とジョークめかして言われていた。

 「この状況で休んでも、こんがらがった頭の中がほどける感じがしない。結果が出ていないのは苦しいけど、練習に時間を費やすのは苦しくないので」

 フォア・ザ・チームの精神に満ちあふれる35歳。勝利のためには「僕のフルイニングなんて二の次、三の次」と心得ており「体は元気。痛い箇所がない分、余計に苦しい」と自嘲気味に笑う。

 新井監督は、8回の決勝犠飛を「あの場面で最高の仕事をしてくれた」と絶賛。「彼の野球に対する姿勢を周りの選手は見ている。秋山さんのために、ベンチ全体が今は俺たちでカバーしようという雰囲気になっている」と目を細めた。

 対戦3カード連続で負け越すDeNAに競り勝ち、首位に返り咲いた阪神とは4ゲーム差。今月5日時点の最大9差から猛追している。秋山は「上位のチームに勝っていかないと(ゲーム差は)縮まらない。そういう気持ちはずっと持ってやりたい」と言った。

 打てない時もベンチの最前列に陣取り、努めて明るく振る舞うベテラン。ヒットメーカーは1本出たぐらいで喜ばない。ただ光が見え始めたのも事実。1安打2打点が完全復調への端緒と信じたい。(江尾 卓也)

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