阪神ドラ1・森木 青柳の「金言」実践し5回まで1安打快投 中日・立浪監督「手ごわい投手出てきた」

[ 2022年8月29日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神1―4中日 ( 2022年8月28日    バンテリンD )

<中・神>6回3失点で敗戦投手になった初登板初先発の阪神・森木 
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 阪神・森木大智投手(19)が28日の中日戦でプロ初登板初先発を果たした。ドラフト制以降の球団高卒新人では13年藤浪以来、9年ぶり5人目。記念すべき初球に152キロの直球を投げ込むと、2番・大島の2球目にはこの日最速の154キロを投じ、5回までは1安打、“15人斬り”の快投を演じた。打線の援護に恵まれずに6回4安打3失点で初黒星。チームも2カード連続負け越しとなったが、1軍の打者たち相手に見せた若き右腕の堂々たる投球が、虎の未来を照らす何よりの光明となった。

 6回2死二塁。4番・ビシエドを146キロ直球で二ゴロに仕留めた森木の表情には、悔しさがにじんだ。とはいえ、6回4安打3失点。堂々としたデビュー戦だった。その証拠に、三塁側に詰めかけた虎党からの大きな拍手を、一身に集めた。

 「程よい緊張というか、いいイメージを持ちながらいけました」

 記念すべき初球は最も自信のある直球。真ん中低め152キロ。続く大島の2球目にはこの日最速の154キロを計測した。その大島に追い込んでから中前打を許し、続く4球目には盗塁も許した。それでも続く阿部を中飛に料理。タッチアップを試みた大島を中堅・近本が好送球で刺し、ピンチを脱出。結果的に3人で終わらせた。

 「ある程度、冷静にいけた。1巡目で真っすぐで押せたので、変化球で攻められたのは良かった」

 2回以降はまさに圧巻。5回まで打者15人斬り。直球、スライダー、カーブ、スプリットを、低めに集め続けた。5回まで先頭打者を一度も許さず、1安打無失点。緊張も力みも失投もなく、高卒1年目19歳とは思えないほど地に足を着けた投球だった。初めて先頭打者の出塁を許した6回、2死三塁から真ん中に入った152キロ直球を岡林に右前へ運ばれ先制点を献上。なおも2死一、二塁から3番・阿部に右越え2点二塁打を浴びたが、大きな収穫と課題を手にした91球となった。

 森木のプロ初シーズンは、青柳の「金言」から始まった。エースが新型コロナウイルス感染で出遅れていた4月ごろ。鳴尾浜で、ある思考を伝授された。それはストライクゾーンの真ん中に線を引き、内、外角の2分割を意識した投球。これまで四隅を意識していた森木にとっては目からウロコだった。コースを狙いすぎることにとらわれず、自身のボールを信じて大胆に攻める――。エースの意識を自らの血肉とし、1軍マウンドへの道を実力で切り開いた。そして実践してみせた。

 「次にチャンスがあるか分からないですけど、自分にできることはやった。次を信じてしっかり準備したい」

 自己採点は「65点くらい」。満足はない。不足分こそ伸びしろ。虎党に大きな希望を抱かせる第一歩だった。(石崎 祥平)

 【データ】ドラフト1位の高卒新人・森木(神)がプロ初登板し、6回3失点で敗戦投手。現行の12球団で、1950年の2リーグ制以降に高卒新人の初登板勝利がないのは阪神だけだが、大学・社会人経由で入団した投手では、18年の高橋遥人まで10人が初登板勝利を達成。1リーグ時代には、藤村富美男ら4人が初登板勝利を飾っている。

 ▼中日・立浪監督(森木について)思った以上にいい投手だった。ストライクを先行できるし、これから変化球の精度が上がってきたら、やっかいな投手。真っすぐが速いのが最大の武器。初登板でもおどおどしたところがない。完全に力負けしている凡打が多かったので、また手ごわい投手が出てきたなと思った。

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