阪神・前川を金本知憲氏が絶賛!「振る力」はゴジラほうふつ 初対面から1年、驚きの連続

[ 2022年3月15日 05:30 ]

金本氏から「振る力」を絶賛された阪神・前川

 鮮烈デビューを飾った阪神のドラフト4位・前川右京外野手(18=智弁学園)を、前阪神監督でスポニチ本紙評論家の金本知憲氏(53)が、「驚き」に満ちた驚異の高卒新人だと絶賛した。1軍初出場となった13日の巨人戦(甲子園)では球団高卒新人として1974年掛布雅之以来となるオープン戦マルチ2安打を記録。通算2539安打を放った憧れの「鉄人」から太鼓判を押されたルーキーは、開幕1軍をかけ、15日からソフトバンク2連戦(ペイペイドーム)に乗り込む。

 正直、ビックリした。2安打を記録した前日13日の巨人戦はテレビで見ていた。前川選手の打撃を見るのはプロ入り後では初めてだった。「こんな高卒1年目は見たことがない」とは言えないが、「バットを振れる」、「振る力がある」という驚きの印象だった。

 初対面は昨年2月。テレビ番組の企画で練習を視察する機会があった。屋外でのフリー打撃、ティー打撃、ロングティー打撃と打撃練習を中心に見させてもらった。その時も「振る力はある」と感じた。恵まれた体格を生かして飛ばす力もあった。ただ、当時は自分が得意とするポイント、強く振ることができるポイント、いわゆる自分の“ツボ”にボールが来ないと打てないのではないかとも感じた。その理由からプロに入っても、少し時間がかかるのではないかと感じたことを覚えている。

 しかし偶然、昨夏にテレビで見たときは印象がガラリと変わっていた。一言で言うと、柔らかいスイングに変わり、柔軟性のある打撃へと変ぼうを遂げていた。春から夏の短い期間でなぜ?柔軟性を兼ね備えることができたのか…。それはわからない。ただ、当時も驚かされたことだけは覚えている。

 そして、13日の試合では、さらにビックリさせられた。大卒1年目の新人選手であっても、あそこまで「振れる」選手は少ない。それ以上に現状のチーム内でも「振れる力」は上位。一方で高卒1年目の選手が上位クラスという寂しい現実があるものの…。

 1軍の高いレベルに位置する打者の原点としてあることが「振る力」。そこは好打者において共通して言えることだ。特別な技術や技などがあれば話は別だが、プロでは「振る力」が必要条件だ。

 初めて松井秀喜を見たときも高卒新人ながらとにかく振れていた。「振る力」、「振れる力」があるということは何より速球に強い可能性があると言える。プロに入っても、その力を付けるために打ち込みや素振り、トレーニングに励む。13日は下半身にも目を向けたが、トレーニングをして鍛え込んでいるし、バットも振り込んでいると感じた。そして体の強さも感じた。

 昨春に驚き、昨夏に驚き、そして13日も驚いた。対応力、実戦力もある。開幕1軍の可能性も決してリップサービスではない。今後は実戦でどんどん起用してほしい。大きな可能性を感じる。前川をはじめ、昨年の佐藤輝選手、近本選手ら近年は「振れる」選手を指名。選手の素材を見て指名しており、球団のドラフト戦略も確実に変わってきた印象も受けた。楽しみで仕方ない。(本紙評論家)

 ◇前川 右京(まえがわ・うきょう)2003年(平15)5月18日生まれ、三重県津市出身の18歳。智弁学園では1年春から主力。甲子園は同夏、2年の交流試合、3年春夏と計4度出場し、3年夏は準優勝。高校通算37本塁打。1メートル76、88キロ。左投げ左打ち。

 ▽前川と金本知憲氏 昨春の選抜大会を控えた2月、前川はテレビ番組の取材で智弁学園を訪れた金本氏から直接指導を受けた。12月の入団会見では、矢野監督から将来つけたい背番号を問われ「6番です!」と即答。6番は金本氏が現役と監督時代につけ、現在は準永久欠番扱いとなっている。3月に入り、キャンプで使用した3種類から金本モデルのバットを使用することを決め、13日の巨人戦で2安打デビューを飾った。

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