【牛島和彦の視点】奥川マジック11&9勝目“つかんだ”独特の握りで投げる直球

[ 2021年10月8日 22:00 ]

セ・リーグ   ヤクルト4―1阪神 ( 2021年10月8日    神宮 )

奥川の背番号マジック「11」が点灯(撮影・久冨木 修)      
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 高卒2年目ながら、奥川の安定感には恐れ入る。6回2/3で奪三振はわずか2個だったが、阪神打線を打たせて取る中で効果を発揮していたのが、独特の握りで投げる直球だ。

 普通の直球(フォーシーム)は横にしたボールの縫い目2本に指を掛ける。奥川はこの握りを縦にずらして投げている。これがツーシームのような変化を生む。右打者の内角にシュートのように食い込ませ、このボールを意識させた上で外角への横の変化となるスライダー、縦の変化となるフォークを変幻自在に操っていた。一方で左打者には、内角のボールゾーンから変化させてストライクに。この独特な直球は大きな武器と言っていい。

 見事な制球力も相変わらず。体重移動の時に軸がぶれないことがコントロールの良さにつながっている。左足を上げた時に軸足が「かかと体重」になると体重移動がしづらくなる。理想はややつま先寄り。奥川は理想通りのフォームで、そこから左足にしっかりと体重を移動し、バランスが崩れない。だからリリースポイントが安定する。全てが理にかなったフォームだ。

 全体的に力みもなく落ち着いていて、技術とメンタルのバランスもいい。7回に急にボールが浮き出したことだけが気がかり。スタミナ面だろうか。これで9回を完投するような体になれば、もっともっと楽しみな存在になる。

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