阪神・佐藤輝 怪物対決第1Rは“勝利”の適時打も、はや再戦へ意欲「真っすぐ、はじき返せるように」

[ 2021年5月28日 05:30 ]

交流戦   阪神4-6ロッテ ( 2021年5月27日    甲子園 )

<神・ロ>5回2死二塁、申告敬遠で出塁する佐藤輝。左は佐々木朗
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 勝負に勝って、試合に負けた。阪神は27日のロッテ戦に4―6で敗れた。6番・佐藤輝明内野手(22)が1安打1打点などロッテ先発・佐々木朗希投手(19)から計7安打4得点も、リードを守り切れず。「令和の怪物」にプロ初白星を献上し、甲子園では今季初のカード負け越しとなった。

 これから「令和の名勝負」になっていくかもしれない。投打の怪物同士の初対決を制したのは、佐藤輝だった。甲子園初見参の佐々木朗を迎え撃ち、そのバットが火を噴いた。

 「速い真っすぐに対して、しっかり自分のスイングができた。先制された後だったので、すぐに取り返すことができてよかった」

 1点を追う2回無死一、三塁。その時は訪れた。注目の初対決。初球から3球連続で佐々木朗が投じてきたのは、すべて150キロ超の直球だった。3学年下の右腕が挑んできた真っ向勝負。力強いスイングで応じた。2ボール1ストライクからの4球目、内角低めにきた152キロに初めてスイング。捉えた打球は、あっという間に三遊間を破る適時打へと姿を変えた。「チャンスだったので。ランナーがいる場面で、還すことができてよかった」。18日のヤクルト戦以来4試合ぶりの打点を挙げ、張り詰めた空気に包まれていた聖地を沸かせた。

 3回2死一塁の第2ラウンドは、1ボールから151キロを打ち上げて中飛で小休止。5回、1点を奪い、なおも2死二塁で回ってきた3度目の対戦は自身2度目の申告敬遠で歩き、実現しなかった。それでも2人が18・44メートルの距離を隔てて対峙(たいじ)するたび、球場内が熱を帯びた。

 「すごく(球の)角度がありますし、真っすぐも力強い球だった。すごくいいボールだなと思いました」。ともに甲子園出場経験がなく、4球団競合のドラフト1位でプロ入りしたという共通点を持つ「新怪物」同士。虎の若き大砲は今後、必ずや実現するであろう再戦へ向け「向こうも真っすぐで抑えたいと思うんで。しっかりはじき返せるように、準備したいと思います」と拳を握りしめた。

 佐藤輝が生み出した1点を皮切りにチームは5回までに4得点。だが6回にまさかの逆転を許し、佐々木朗にプロ初白星を献上してしまった。試合後、悔しい矢野監督も「将来、日本を代表するスケール感はあるなと感じた。素材の良さとマウンドでの雰囲気というのは、良いピッチャーの素質っていうのはある」と「令和の怪物」に賛辞を贈った。

 甲子園では今季初のカード負け越しを喫した。とはいえ交流戦は始まったばかり。「しっかりと自分のするべきことをするだけ。いい意味でいつも通りいきたい」。虎の怪物新人は下を向くことなく、次戦を見据えた。(阪井 日向)

 【名勝負初対決アラカルト】
 ▽江川卓(巨)VS掛布雅之(神) 初対戦は79年7月7日で右本、四球、中飛。通算167打数48安打(14本塁打)21三振、打率.287。
 ▽野茂英雄(近鉄)VS清原和博(西) 初対戦は野茂のプロ初登板の90年4月10日で空振り三振、四球、中安。通算118打数42安打(10本塁打)34三振、打率.356。
 ▽松坂大輔(西)VSイチロー(オ) 初対戦は99年5月16日で空振り三振、見逃し三振、空振り三振、四球。日本通算34打数8安打(1本塁打)4三振、打率.235。

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