プロ注目右腕が「歴史」紡いだ 中京大中京・畔柳が12K完封、チームは東邦に並び最多の選抜56勝目

[ 2021年3月26日 05:30 ]

第93回選抜高校野球大会第6日第1試合 1回戦   中京大中京2ー0専大松戸 ( 2021年3月25日    甲子園 )

<中京大中京・専大松戸>完封勝利を挙げた中京大中京・畔柳 (撮影・成瀬 徹)  
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 1回戦1試合と2回戦2試合があり、中京大中京は専大松戸を下して2010年以来11年ぶりの勝利をあげ、選抜通算勝利を東邦に並ぶ歴代1位の56勝とした。151キロ右腕の畔柳亨丞(くろやなぎきょうすけ)投手(3年)が12奪三振で完封した。天理は達孝太投手(3年)が高崎健康福祉大高崎を2安打完封し、08年以来13年ぶりの8強入り。仙台育英は大勝で準々決勝に進んだ。

 最後に登場した剛腕が聖地で躍動した。9回2死一塁。畔柳は最後の打者を外角直球で見逃し三振に仕留めると右拳を握りマウンド上で跳ねた。得点圏に4度走者を背負いながら、エースの自覚を胸に強い気持ちで12奪三振。131球で9個のゼロを並べた。

 「自分が逃げたらチームは負ける。常に攻めの姿勢を持った」

 柔軟な思考が剛球の土台だ。初回2死一、二塁をしのぐと、2回からはクイックモーションを導入。同時にプレートを踏む位置も一塁側から三塁側に変更した。「今日の状態で一塁側から投げると、体が倒れて抜けるボールが多くなる」。2回以降は制球も安定。9回にもこの日最速タイの147キロを計測するなど、最後まで速球の威力は衰えなかった。

 旧チームのエースだった高橋宏斗(現中日)から多大な影響を受けた。効果的だったチェンジアップも直接教わったもの。「投げる時に腕が緩む」と指摘されたが「球速が速くなってもいい」と割り切り冬場に磨いた。マウンド上で「甲子園は緊張する。力んでいい」の言葉も思い出した。高橋源一郎監督は「タイプが違うのでどちらが上と言えないが、要所で力を発揮できる。高校ではエースとして高いレベル。遜色ない」と成長を認める。

 SASUKE名古屋ヤングに所属した中学3年時の大会で0―1で投げ負けた相手が今大会にも出場する市和歌山の小園健太。聖地でライバルと同じ147キロを計測し完封で続いた。「チームを勝たせるのが役目。一人一人、全力で向かっていく」。66年以来の選抜Vへ、その剛球で歴史の壁をぶち破る。(桜井 克也)

 【プロ各球団の畔柳評】
 ▼オリックス・下山真二スカウト 真っすぐと分かっていても打ち取れるところがいい。見てる方が叫んでしまうような魅力のあるピッチャー。去年の高橋宏斗に負けない素質を持っている。

 ▼楽天・後関昌彦スカウト部長 終盤でもボールの勢いが落ちなかった。(市和歌山の)小園の方が投球はうまいが、こちらの方が馬力がある。

 ▼ロッテ・榎康弘チーフスカウト 高橋(宏斗)君みたいに馬力があって躍動感がある。試合の中でプレートの位置を変えるなど修正力がある。

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2021年3月26日のニュース