難病と闘うオリックス西浦「僕が一番最初に復活しようと…」勇姿が人々の励みに

[ 2021年1月7日 09:00 ]

オリックスの西浦
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 過酷な現実と真っ正面から向き合う21歳の姿勢に、正直、尊敬の念を覚えた。どの言葉にも重みがあり、ズシリと響いた。恐怖心はあるはず。それでも、オリックス・西浦颯大外野手(21)は「恐怖心はない。この病気で復活した人がいないなら僕が一番最初に復活しようと思いました」と気丈に言い切った。

 「最初は、“なんだ、この病気は”っていう感じでした」

 違和感は昨年11月だった。「本当に急だった。激痛が走って力が入らなくなった」。「両側特発性大腿骨頭壊死症」と診断された。血流が低下して壊死状態になり股関節機能が低下する国の指定難病で、タレントの堀ちえみや俳優の坂口憲二が患ったことでも知られる。「会う人には、“大丈夫じゃないやん”とも言われましたし、医師からは厳しい言葉もあって、“8割強、野球には復帰できない”と言われました。だんだん、この病気のことを知ったけど、怖くはなかったです」。

 明徳義塾から17年ドラフト6位で入団。当時の体力測定では体脂肪率は驚異の4・9%を記録し、周囲の度肝を抜いた。昨季は46試合の出場で、打率・187、2本塁打、4打点ながら、攻守ともに積極的なスタイルは目を引く。高い身体能力の持ち主で、走攻守揃った将来のリードオフマン候補の1人は、精神力も図抜けていた。

 昨年12月下旬に京都市内の病院で、左大腿骨頭掻爬(そうは)骨移植術を受けた。術後の経過をみながら、約3カ月後には、反対側の右大腿骨頭掻爬骨移植を行う予定で、「半年間は入院することになると思う」。患部の状態を確認しながら、懸命に再起を目指す。

 「僕が復活すれば、(同じ病気の人も)希望が持てると思う。プロでまだ3年しかやっていない。まだまだ、やりたい思いがある。1日も早く復活し、支配下選手になれるように」。苦難を乗り越える勇姿を見せ続けることは、同じ病気と闘う人たちの励みになる。再びグラウンドで躍動する日を、誰もが願っている。(記者コラム・湯澤 涼)

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2021年1月7日のニュース