巨人・原監督語録 柔軟な采配の根底にある発想力

[ 2020年7月29日 08:30 ]

<巨・D7>応援ボードに書かれた原監督からファンへのメッセージ(撮影・木村 揚輔)
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 柔軟な采配はどこから生まれるのか。巨人は原辰徳監督(62)の手腕が光り、2年連続リーグ連覇を目指す今季も首位を快走する。

 東京ドームで今季初めて観客が入った28日DeNA戦。客席に設置された応援ボードには、原監督のサインと「応援で取れる1点がある。あなたがドームにいてくれる。それだけで、巨人は強くなれる。おかえりなさい。今日が、あなたの開幕戦。さあ、共に戦いましょう」とメッセージが記されていた。

 強いリーダーシップを発揮した小泉純一郎元首相は「言葉の力」で国民を引っ張った。会見では、新聞で言う「見出しどころ」が多かったと聞く。もちろん政治とスポーツと舞台は違うが、原監督の柔らかい発想力は言葉から垣間見える。本拠地での有観客試合が始まったことを受け、「語録」を紹介したい。

 <7月22日「いわば2歳」>
 62歳の誕生日を祝われた報道陣の前で。「一回転したところのいわば2歳。まだまだ積み重ねなければいけない」と話した。60年で一回りして再び生まれた年の干支(えと)にかえることから。

 <7月2日「タカヒコぐらいになった」>
 勝負所でリーグトップの4盗塁目をマークした代走・増田大に。かつての走塁のスペシャリスト・鈴木尚広(タカヒロ)氏の「ロ」まであと一歩の「コ」まで来たと。

 <6月30日「水を得たフィッシュ」>
 今季トレード加入したウィーラーが意気揚々と練習に励む姿を表現。外国人選手であることから「魚」をあえて英語に変えた。

 <7月9日「今のままじゃ、悪川君」>
 阪神との試合前に吉川尚を熱血指導して。「(今の状態では)悪川君。吉川君にならなきゃ」と言った。「悪川」では上品ではないとして、あえて「“君”をつけることで良い形容になる」と軟らかい表現に変えた。

 <3月14日「それがどうした、文句があるか。そんな歌あったね(笑い)」>
 オープン戦最下位が決まったことを報道陣から質問されて。シーズン前に白星を度外視して起用した若手が現在は花開いている。順位については、都はるみと岡千秋のヒット曲「浪花恋しぐれ」の歌詞を用いて答えた。

 全て記者の質問に対し、即座に応えた回答。常人には到底マネできない発想力が、記者の先にいるファンを楽しませる。柔軟な采配の根底だろう。(記者コラム・神田 佑)

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2020年7月29日のニュース