【夢のご当地オールスター・九州、沖縄編】川上哲治監督がけん引する“九”極打線

[ 2020年5月26日 07:00 ]

夢のご当地オールスター 九州・沖縄のメンバー
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 単独チームを構成した福岡を除く九州・沖縄出身選手でつくるドリームチーム。一時代を築いた選手が並ぶ中、現役でメンバー入りしたのが、現役最年長の阪神・福留孝介(PL学園)とパ・リーグ2年連続本塁打王の西武・山川穂高(中部商)だ。

 福留は鹿児島出身。4月で43歳になった。NPB通算1897安打。あと103安打で和田一浩を抜き、史上最年長での2000安打達成となる。2395安打を誇る日米通算ランキングでも、あと145安打で金本知憲を抜き、歴代トップ10に入る。

 「この年齢でも野球をやらせてもらっていることを考えると、やっぱりチームが勝つために何をしなければいけないかが大事になってくる」

 優勝への強い思いをにじませ、6月19日に開幕が決まった2020年シーズンに照準を合わせている。

 沖縄出身選手のリーダー的存在になった山川も豪快な本塁打と「どすこい!」とベンチ前で演じるパフォーマンスで人気も急上昇。3年連続のキング、そして悲願の日本一がターゲットだ。

 チームの投打の柱は「神様」と呼ばれた2人だ。巨人V9監督として監督兼任とした川上哲治(熊本工)は「ボールが止まって見えた」の伝説を持つ「打撃の神様」。首位打者5度、本塁打王2度、打点王3度のタイトルを獲得し、MVP3度、ベストナインにも10度選出された。

 「鉄腕」として西鉄の黄金時代のエースに君臨した稲尾和久(別府緑丘)が「神様、仏様、稲尾様」と呼ばれる活躍を見せたのが58年の巨人との日本シリーズ。7試合中6試合に登板、5試合に先発し4完投で第5戦ではサヨナラ本塁打も記録。博多を熱狂させた戦いだった。

 捕手は阪神やマリナーズでもプレーした城島健司(別府大付)と西武の黄金時代に貢献した伊東勤(熊本工)の争い。甲乙つけがたいが、メジャーでの実績も加味し城島を選出した。

 荒巻淳(大分商)、権藤博(鳥栖)、野田浩司(多良木)、下柳剛(瓊浦)、大瀬良大地(長崎日大)、青木宣親(日向)ら多くの名選手が漏れた。沖縄勢ではパイオニア的存在で広島や阪神で活躍した安仁屋宗八(沖縄)、野手では阪急、阪神で活躍した石嶺和彦(豊見城)の存在も忘れてはいけない。

 特筆したいのは戦禍に散った石丸進一(佐賀商)と吉原正喜(熊本工)。名古屋軍で2年で計37勝をマークした石丸は、45年に鹿児島・鹿屋基地でキャッチボールの後に特攻機に乗り込んだ。川上とチームメートで、巨人最高捕手という評価を受ける吉原もビルマで戦死。先人への思いも胸に、九州男児は戦う。
(鈴木 光)

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2020年5月26日のニュース