夢舞台へとつなげるために…淡々と牙磨くオリックス吉田正

[ 2020年4月27日 09:00 ]

オリックスの吉田正
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 来たるべき日に向けて、オリックス・吉田正尚外野手(26)は淡々と牙を研いでいる。新型コロナウイルス感染拡大の影響で依然として開幕は未定。難しい調整を強いられるが、大阪・舞洲の球団施設で集中を切らさず自主練習に励んでいる。

 「打撃投手の方も来てくれるので、班で回って打ったり、あとはウエートで、しっかり負荷を掛けたり。このオフにやってきたことを、もう一度見つめ直すこともしています」

 チームはクラスターと呼ばれる集団感染の対策のため「3密」((1)換気の悪い密閉空間(2)密集(3)近距離会話)回避を強化。密集を避ける目的で一度に練習する選手やコーチ陣の人数を制限するシフト制を採用。吉田正は3勤1休ペースで舞洲を訪れ、打撃練習やノック、ウエートトレーニングなどに取り組み、土台作りを徹底している。

 昨季はチーム唯一の2年連続で全143試合に出場し、打率・322、29本塁打、85打点。“チームの顔”に成長した生え抜き主砲は、メンタル面も進化を図る。その一つに、今オフに阪神・糸井らと臨んだ沖縄自主トレで対面した日本ハム・西川の助言がある。
 「西川さんも同じ球場で練習していたんです。練習もめちゃくちゃやるし、もの凄くストイックな人。自分が思っていた以上に、とにかく体調管理がすごかった。例えばシーズン中。ナイターの翌日がデーゲームだったら食事量を減らすとか。胃の消化で使う体力も温存というか、その負担すらも減らして体力回復を図るとか、そういった考え方は本当に参考になりますよね」

 無観客開催の可能性も浮上するなど不透明な状況が続くが、結果が求められる重要なシーズンとなる。成績次第で、1年延期となった東京五輪に出場できるかどうかが懸かってくるからだ。「プレミア12」で不完全燃焼に終わった吉田正が侍ジャパンに選ばれるには、招集期限までの全ての試合が試金石となる。昨季終了間際に、千葉県内の焼肉店で悲願の東京五輪出場への思いを尋ねた時のこと。印象深い言葉がある。

 「とにかくケガが怖いですよね。練習試合やオープン戦で、死球を受けて指の骨が骨折するかもしれないし、それは、どうしようもないこと。走塁で足の故障とか。東京五輪を目指す選手全員が思うことだと思う。でも、そんなことを言ってたら何もできないし、逆に成績不振になったりすると思う。目の前の一戦を一生懸命やるだけ。それが、一番良い結果につながるはず」

 出場試合が増える分だけ故障リスクも高まるが、アピール機会が増えた好機であることは間違いない。練習では、「野球の動作による下半身強化」を狙い、三塁や遊撃の守備位置でノックを受けるなど、打撃だけでなく守備、走力を含めた総合的なレベルアップを図っている。この猶予期間を有効活用することが、夢舞台につながるはずだ。(記者コラム・湯澤 涼)

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2020年4月27日のニュース