因縁継承 江川と掛布――「エリート」から「雑草」が放ったキングへの号砲

[ 2020年4月15日 08:00 ]

1982年4月16日、江川卓投手(手前)から左越えにソロ本塁打を放つ掛布雅之内野手
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 【Lega-scene あの名場面が、よみがえる。~名勝負編~】 昭和、平成の名場面を本紙所蔵の秘蔵写真からお届けする「Lega―Scene(レガシーン)」。プロ野球の名勝負編、第2回は巨人・江川卓(当時26)と阪神・掛布雅之(同26)のライバル対決です。伝統球団のエースと主砲の間に散る火花。この試合には、さらなる因縁も――。

82年4月16日、この年最初の伝統の一戦。
3回、掛布のバットが
江川の外角直球を後楽園球場の
左翼席中段まで運んだ。
3年ぶりに怪物右腕から放った本塁打だった。

村山実と長嶋茂雄、
そして江夏豊と王貞治。
ライバルの系譜は攻守が入れ替わり、
雑草の掛布とエリートの江川が引き継いだ。

同い年ながら入団テストを経て、
阪神にドラフト6位入団した虎の主砲と、
高校、大学、浪人時代の3度1位指名を受けながら、
「空白の1日」を使った強行トレードで巨人入りしたエース。
9年間で掛布が14本塁打を放ち、
江川は21個の三振を奪った。

この試合は江川のトレード相手、
小林繁が阪神の先発だった。

因縁の投げ合い。

掛布のバットに力がこもって当然だ。
敗れた江川は、一投手にもかかわらず、
試合後に「敗軍の将、多くを語らず」と
コメントを残した。

 ライバルからシーズン1号を放った掛布は、この年、2度目の本塁打王を獲得する。(敬称略)

 《通算「31」本目》当時のスポニチ本紙東京版1面では巨人と江川の敗戦が大きく報じられ、掛布は2面。シーズン9試合目で放った初アーチで、巨人戦では背番号と同じ通算31本目だった。「巨人戦はどうしても力が入る。そういう雰囲気なんだ」と掛布。江川とのトレード相手となった小林に、5度目の投げ合いで初勝利をプレゼントした。メインの記事では両軍の対戦が998試合目と、大台にあと2と迫ったカウントダウン企画として、応援団の盛大な「ヤジ合戦」を伝えている。

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2020年4月15日のニュース