DeNA 中後 引退表明の夜に…「すごいタイミング 全くの偶然」

[ 2019年11月26日 09:15 ]

現役引退を発表した25日の夜、トークショーに登場した中後
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 DeNAは25日の午前11時、中後悠平投手(30)の現役引退を発表した。その約8時間後。中後は東京・赤坂のバル「COISTA」でトークショーに出演していた。

 「(選手としての契約は11月いっぱいのため)プロ野球選手として最後に出るイベントが、本当に、すごいタイミングになりましたね。全くの偶然ですよ」

 このイベントは現役続行を模索中の10月に企画された。中後はDeNAのファンフェスティバルが行われた24日、球団関係者に会って次の道に進む旨を正式に報告。あくまで球団の指定したタイミングだった。さらに、トークショー観覧の申し込みは24日が締め切り。偶然が重なったことで、中後の現役続行を心から待ち望んでいたファンに直接、真っ先に引退を報告する幸運に恵まれた。

 ロッテ、ダイヤモンドバックス傘下マイナー、DeNAでプレーした変則サイド左腕は、10月1日に人生3度目の戦力外通告を受けた。9月30日に球団から連絡を受け、妻・光(ひかる)さんには「明日、(球団)事務所に行ってくる」とだけ告げると、返事は「分かった。行ってらっしゃい」。短いやり取りで全てが通じた。

 15年限りで戦力外となったロッテではプロの壁に直面。戦力外選手を特集するテレビ番組をきっかけに米国行きの道が開けた。メジャー昇格には一歩届かなかったが、2年半でマイナー全階級を経験してハングリーさとともにツーシーム、チェンジアップを身につけた。DeNAでは伊藤光、中井、武藤ら同学年の移籍組から刺激をもらいつつ、今季は新たにカットボールを習得。2軍では好投したが、1軍で首脳陣を満足させる結果を残せなかった。「まだまだ野球をしたいという気持ちはありますが、全力を出し切りました」とユニホームを脱ぐ決断を下した。

 引退後は球団職員に転身する。営業職への配属となる見込みで、日米8年間での豊富な経験を新たな形で生かす。球団が戦略的パートナーシップを結んでいるダ軍の組織に所属していた貴重な存在。「僕しかできないこともあると思う。英語力も伸ばしていきたいし、パソコン教室にも通いたい」と語る目は意欲に満ちていた。

 トークショーは満員御礼。DeNAファンだけでなく、古巣のロッテファンも多く駆けつけた。締めのあいさつで中後は「来年からは別の形でベイスターズにしっかり貢献していきます」と宣言。大きな拍手を浴び、温かく送り出された。

 引退試合、引退セレモニーを用意されるプロ野球選手は、ごく一握り。波乱に富んだ野球人生を歩んだ中後にとって、引退表明の夜もちょっぴり風変わりで、味わい深い花道となった。(記者コラム・大林 幹雄)

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