タナキクマル 眼の勝利 甘い球を打つ選球眼と見極める選球眼

[ 2017年9月19日 08:14 ]

セ・リーグ   広島3―2阪神 ( 2017年9月18日    甲子園 )

<神・広>初回、先頭で四球を選ぶ田中
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 愚直に「俺たちの野球」を追い求めた。頼もしい仲間に、つなぐこと――。同点の8回、1死一、二塁で広島・バティスタが左前適時打を放った。決勝のホームを踏んだ菊池も、一塁走者の丸も四球で出塁。初回の先制点も先頭・田中の四球から生み出された。タナキクマル。3人合わせて288得点とダイヤモンドを駆け巡り、連覇の原動力となった。

 ただ、やみくもにつなぎを意識したわけではない。丸が証言する。

 「僕らが掲げてきたのは、ただつなぐのではなく自分のスイングをした中でつなぐこと」。チーム490四球は12球団最多。その裏側には「単にボールを選ぶのではなく、甘い球をしっかり打ちにいく選球眼と、見極める選球眼。2つが合わさったものをチームとして大事にしてきた」との共通認識があった。田中がリーグ3位の86、丸自身は同4位の80四球。打って相手を追い詰め、選んで重圧をかける。2つの鋭い目。そこに広島野球の神髄があった。

 「そういう意味で自分たちの野球ができたと思う」と丸。自身の得点はリーグトップの103。田中が2年連続大台の101で、鈴木、菊池と続いてリーグの得点トップ4を独占している。1〜3番がこれだけ得点を量産すれば、勝てないわけがない。丸は163安打もリーグトップでMVP候補筆頭だ。

 9回2死、ウイニングボールとなった伊藤隼の飛球をつかんだのは田中だった。「去年は25年ぶりでそわそわしていたが、今年は最後までしっかりできた」。昨季Vのラストシーンも田中へのゴロで、菊池は「自分のところに飛んでこいと思っていたのに…。“ちくしょう”と。ちょっと悔しかった」と笑った。強い絆。同学年の3人こそが、広島黄金時代の旗手だ。

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