メジャー挑戦中の中後“キャンプのためのキャンプ”で打ちっ放し&登山

[ 2017年2月10日 10:45 ]

中後悠平
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 大リーグの春季キャンプ。陽光降り注ぐ下、レギュラー組は自分のペースで調整し、そうでない選手たちはし烈なサバイバル、といったイメージが大半だろう。私も7年前にアリゾナでキャンプを取材し、やはりそんな印象だった。特に、メジャー40人枠をめぐる争いで選手があふれていたクラブハウスから昨日は3人、今日は2人と減っていくのを間近で目にした時は厳しさを痛感した。

 同時に「若手選手は何も勝手が分からないところに放り込まれ、ペースもつかめないまま終わってしまうことも多いのでは?」という疑問をずっと抱いていたが、先日、解消された。1月中旬にダイヤモンドバックスの3日間のミニキャンプに参加した中後の話を聞いたからだ。

 ダ軍とマイナー契約を結びメジャーキャンプに招待参加する左腕は「3日間、ずっと団体行動でした」と笑った。ミニキャンプに呼ばれたのは中後と同様、初めてメジャーキャンプに参加する選手たち。スケジュールはぎっしりだった。まずは練習、ミーティング、トレーニングや栄養学に関する講義、ドーピングの注意喚起など。ここまでは分かるが、さらに組み込まれていたのが(1)コーチ陣や球団スタッフとの親睦イベント、(2)地元の子どもたちとの交流会、そして(3)登山、である。

 (1)はゴルフの打ちっ放しで球を打ち込んだ場所に応じてポイントを競うゲームをしながらのバーベキュー。(3)は純粋な選手同士のレクリエーションの一環で、いわば遠足のようなノリだ。この3日間は、若手があらゆる面でスムーズにチームに溶け込めるよう、球団が用意した「キャンプのためのキャンプ」だった。

 メジャーへの競争が激しいのは当然。中後も「簡単ではない。生半可な気持ちでは打たれる」と自覚している。しかし、昨年は4月に渡米し、ルーキーリーグから3Aまではい上がった男は、1年前と今の心境を比べ「もちろん、全然違いますよ」と言葉に力を込めた。着実な準備を重ね、今月14日(日本時間15日)にキャンプ初日を迎える。(記者コラム・大林 幹雄)

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2017年2月10日のニュース