侍・筒香に“世界ぶった斬る”名刀 バットの匠とバランス変更

[ 2017年2月10日 05:30 ]

新バットを持ってブルペンで打席に入る筒香
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 3月に開催される第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の主催者は8日(日本時間9日)、出場16チームの最終登録メンバーを発表した。出そろった世界の猛者に、侍ジャパンの主砲として立ち向かうのがDeNAの筒香嘉智外野手(25)。今季から確実性アップを目指してバットのバランスを変更し、新たな「名刀」を携えて世界一奪還の立役者となる。 WBC組み合わせ  侍ジャパンメンバー

 静かにたたずむ姿は、戦国の侍のごとし。筒香の手には、新たな相棒となる刀、ならぬバットが握られていた。足を踏み入れたのは投球練習中のブルペン。中央の打席に立った主砲は、三上が投じた32球を鋭い目つきで見極めた。その視線の先には、約1カ月後に控える世界の舞台が映っているかのようだった。

 「誰もが世界一に向かってやっている。負けたいと思っている国はない。目標はもちろん世界一」。この日、WBC出場16チームの全メンバーが発表された。厳しい戦いが待つのは承知の上。筒香は何度も「世界一」という言葉を繰り返し、チームの主軸としての強い決意を示した。

 その世界一奪回へ、「名刀」ともいうべき新たなバットで侍ジャパンをけん引する。「WBCはもちろん、ずっとこれでいきます」。昨季は44本塁打、110打点でリーグ2冠。しかし歩みを止めることなく「体に変化があったのでバットを変えたい」と、さらなる進化を求めた。1月18日に岐阜・養老町のミズノテクニクスを訪問。約3時間の滞在で完成したのが、現在キャンプで使用している新たな相棒だ。

 この日、同社の名和民夫クラフトマン(49)が宜野湾キャンプを訪問。新バットの変更点を明かした。ポイントは「打球部を若干細くして、全体的なバランスを超トップバランスだったものを手前にもってきました」。長さ約85センチで重さ約880グラム、素材のメープルや2色のカラーリングは昨季と同じ。そんな中で、バランスの位置をわずかに手前に変えた。

 昨季までのバットはバランスが「超トップ」にあった超長距離砲タイプ。筒香は「打率というより、体の変化に合わせて変えただけ」としたが、名和氏は「トップバランスだと遠くへは飛ばせるが、バットをボールに当てる確率はあまりよくない」と明かす。昨季2冠王が確実性を手にすれば、まさに鬼に金棒だ。

 名和氏は09年からマーリンズ・イチローのバットを手がける「匠(たくみ)の技」を持つ職人。今回のバットは筒香オリジナルで、「見た目ではなく、感覚の上で変わっただけ」という。超一流のスラッガーだからこそ、ごくわずかな変化にこだわる。「凄くいいバットをいただいた。何の不安もなく安心してプレーできる」と筒香。世界の強豪を相手に、名刀をさやから抜く日が今から待ち遠しい。(中村 文香)

 ▽バットの「バランス」は重心のこと。主な位置は「トップ(先端)」「ミドル(中間)」「ニア(グリップ側)」の3種類で、最もパワーが必要なトップバランスは長距離打者向け。

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