広島・新井 黒田抜けチーム最年長「ただ優勝したい。それだけ」

[ 2017年1月7日 05:30 ]

大声を張り上げフロントランジに取り組む新井
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 昨季MVPに輝いた広島・新井貴浩内野手(39)が6日、広島市東区のトレーニングジム「アスリート」で自主トレを公開。自己最高を更新した昨春にこそ及ばないものの、重さ110キロのランジスクワットを10回2セットこなし、不惑ボディーの完成にお墨付きを得た。今月末には40歳。チーム最年長のベテランは「初心に帰って必死にやるだけ。優勝したい」と前を向いた。

 大声を張り上げ、苦悶(くもん)の表情を浮かべるたびに、玉の汗が額ににじんだ。公開したのはバーベルを両肩に担ぎ、左右交互に両足を踏み込むフロントランジ。重さ110キロが驚異的なら、これを10回2セットこなしたことも驚きに値する。それでも新井の歯切れは悪い。

 「トレーニング期間が短いので仕方ないけど、去年に比べたら数値が劣る。コンディションは、まずまず…ですかね」

 無理もない。種目が違うものの、昨年はバーベルスクワットで重さ240キロを担ぎ、39歳を目前にして自己最高を更新。「自分でもビックリ。筋力の数値は正直なので安心するし、自信になる」と声を弾ませ、実際、最強ボディーをシーズンの好成績にもつなげた。

 だからと言って、案じることはない。「焦りはあるけど、今できることをやるしかない」。愚直に、一途に体をいじめ抜くことができるのが、誇るべき新井の才能。数値から昨季の活躍を予言した平岡洋二代表も、開幕までには出遅れ分を取り戻せると楽観視する。

 「始動が遅かったので遅れているけど、一昨年に比べるといい。重要なのはシーズン。時間があるので心配していない」

 1月末で40歳。同じ年齢で山本浩二は打率・276、27本塁打、78打点(126試合)、金本知憲は同・307、27本塁打、108打点(144試合)の成績を残した。不惑を迎えてなお活躍した偉大な先人。だが、新井は数字に全く興味を示さず、きっぱり言った。

 「打てるだけ打ちたいけど、先輩方が40歳でこれだけの数字を残しているから頑張ろう…とは思わない。ただ、優勝したい。それだけです」

 この日、着用していたのは「KURO15」の文字が入ったTシャツ。ニヤリと笑い、「これを着てやるように…と、黒田さんからプレゼントされた」と明かした。野球観を共有し、25年ぶりのリーグVに貢献した2人。大黒柱が引退しても、個人よりチームの勝利を優先する姿勢は不変だ。

 「年齢を重ねれば1年の重みが違うけど、今まで通りやるしかない。結果で、行動で示したい」

 2000安打の大記録を達成し、MVPを獲得しても、最年長野手に慢心は一切ない。不惑ボディーを完成させ、リーグ連覇と日本一に向かって突っ走るのみだ。 (江尾 卓也)

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