バット作り一筋55年 久保田五十一さん勇退 イチロー、落合らが愛用

[ 2014年1月29日 07:01 ]

02年、バットを確かめる松井(左)と久保田さん

 イチロー、松井秀喜、落合博満らのバットを手がけ「名人」と呼ばれたミズノテクニクス社の久保田五十一(いそかず)さん(70)が28日、岐阜県養老町の同社で「引退報告会」を行った。後継者育成のメドが立ったことで第一線を退き、今春4月に退社する。バット一筋55年、40万本以上を削り上げ、熟練の技で多くの打者を支えた。

 ミズノ養老工場と同じ1943年に生まれた。中学を出て入社。以来バット一筋55年。年間最高で200人を担当し作ったバットは「40万本は超えている」。

 転機は80年。スタッフに迎えた谷沢健一(中日)に使ってもらえない。返品もあった。「悔しかった」。使用バットを研究するとバランスが先端寄りにあった。作り直すと「これが欲しかった」。うれしかったが「仕事の厳しさを知った」。

 最も印象に残る出来事に85、86年と担当するランディ・バース(阪神)と落合博満(ロッテ)のセ・パ両リーグ2年連続3冠王を挙げた。

 その落合は95年オフ、2本のバットを手に工場を訪れ「こっちのグリップが違う」とクレームを受けた。0・2ミリ細かった。老眼でメガネをかけ始めた頃だった。

 松井秀喜とは星稜高卒業前に初対面し、全てのバットを削った。会見で流れたビデオメッセージで松井は「(バット一筋)55年ということで、それだけでも縁を感じました。要望にいつも100%の答えを出してくれた」と感謝した。

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2014年1月29日のニュース