名人久保田五十一さん 勇退の理由は「闘争心がなくなった」

[ 2014年1月29日 07:04 ]

02年、バットを確かめる松井(左)と久保田さん

 イチロー、松井秀喜、落合博満らのバットを手がけ「名人」と呼ばれたミズノテクニクス社の久保田五十一(いそかず)さん(70)が28日、岐阜県養老町の同社で「引退報告会」を行った。

 久保田さんは引退決意の心境を「本人にしか分からない」と話した。4月で71歳。「闘争心がなくなった。丸くなったと言うか、甘くなったんだ」。社内最高の技術職「プロバットマイスター」。匠(たくみ)の技が光るが「年数でなく熱いハートが物を言う」。妥協を許さぬ名人は自らその座を降りる。

 数年前、後輩に引き継ぐ意思を伝えると、イチローは「それは大変ですね。作り手が変わればバットも変わる」と漏らした。継承は難しいが「数年かけてバトンタッチできた」と肩の荷を下ろした。最後の実演。削ったのは、イチローのバットだった。

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