栗山監督「信じるしかない」斎藤また失点も初白星

[ 2012年3月23日 06:00 ]

<日・ソ>試合後、こわばった表情で栗山監督(左)とハイタッチをする斎藤

 自身初の開幕投手を務める日本ハムの斎藤佑樹投手(23)が22日、ソフトバンク戦に先発した。栗山英樹監督(50)から直接大役を告げられてから初めての実戦登板は7回を投げ5安打3失点(自責点2)。完璧な内容ではない。むしろ不安を残したが、30日の西武戦(札幌ドーム)に向けた最後の実戦で、オープン戦初白星を手にした。

 斎藤は打球が右前に抜けるのを確認すると、視線を落とした。5回2死三塁から内川に投じた140キロの直球は、3点目の適時打とされた。「甘い球があったし、走者がいるときに打たれてしまった」。先頭打者への四球をきっかけにこの回、2失点。唇をかみしめて悔しさを押し殺した。

 最後の調整マウンドを終えた斎藤の心は推し量れない。初回にわずか9球で先制点を奪われ、7回を5安打3失点。それでも手にしたオープン戦初勝利。「シーズン中と同じ気持ちで勝ちを意識して投げられた。全体的に思ったところに投げられた」という言葉に負けん気が表れていた。

 今季の勝負球としたチェンジアップは最後まで不安を残した。カウントを稼げる緩い変化球として完全習得を目指してきたが「変化も思った通りにいかないし、コントロールしにくい」と、この日は3回まで封印した。それでも4回に解禁すると、6、7回はそのチェンジアップを有効に使って3者凡退に仕留めた。

 18日ヤクルト戦前の神宮球場で、栗山監督から直筆の手紙で開幕投手を伝えられた。早大時代に東京六大学野球史上6人目の通算30勝300奪三振を達成した「本拠」で受けた大役だった。

 昨年までエースのダルビッシュが立っていた場所。「ダルさんみたいに投手の力で勝つという感じではない」と認める。2月のキャンプからチームでの実戦登板で一度も無失点に抑えたことはない。「オープン戦で結果が出なくて悔しく、もどかしかったけど覚悟を決めて一生懸命やりたい」。

 悩み抜いた末に斎藤を指名した栗山監督も「きょうの内容よりも、開幕で何を見せてくれるのか信じるしかない」と全てを託した。この日の105球には期待以上に不安が詰まっていた。ただ、斎藤は「自分は大事な場面で抑えてきた。自分にプレッシャーを掛けて追い込まないと、少しでも隙があると甘えてしまう」と自らを鼓舞した。そこからの反動に期待したい。斎藤が持っている何かを信じている。

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