鬼気迫るイチローに伊東氏「ずいぶんやってきたな」

[ 2012年2月19日 06:00 ]

室内練習場で打撃練習を行うマリナーズ・イチロー

 軽快、準備OK!マリナーズのイチロー外野手(38)が17日(日本時間18日)、翌18日(同19日)の野手組のキャンプインを前にさっそく始動した。この日現地に入り、身体検査後にキャッチボール、トス打撃などで汗を流した。練習後には、韓国プロ野球・斗山のヘッドコーチを務める伊東勤氏(49)とも談笑。自身の順調な調整ぶりをアピールした。2年ぶりのシーズン200安打へ、イチローの長い1年がいよいよ始まる。

 照りつけていたアリゾナの太陽が西に傾き始めたころ、主役が姿を現した。キャンプイン前日。午後4時からの身体検査などを終えたイチローが、球団職員とともにグラウンドに足を運んだ。体にフィットしたウエアにスパッツ姿で、最大50メートル強の距離でキャッチボール。その後に室内ケージへ場所を移すと、練習ぶりはさらに熱を帯びた。

 「フン!フン!」

 スイングごとに、大きな声が響き渡る。トス打撃の1球目から、こん身のフルスイング。周囲の関係者がひと言も発することができないほど、張り詰めた独特のムードが漂った。トス打撃とフリー打撃で計64スイング。昨年のキャンプ前日の始動は39スイングだった。鋭い音が倍近くに増えたことが、イチローの今季に懸ける意気込みの強さを表していた。

 「そりゃ、(練習を)やってなかったら(駄目でしょう)。あすからスタートですからね」

 イチローは伊東氏の「ずいぶんやってきたな」との問いかけに、笑みを浮かべて答えた。しかし、その目は真剣そのもの。09年WBC日本代表で総合コーチだった同氏は現在、同じ施設でキャンプ中の斗山でヘッドコーチを務めている。ともに世界一に輝いた仲間であるイチローの打撃練習に熱視線を送ったが、その姿に鬼気迫るものを感じたのか、終了後にようやく声を掛けたほどだった。

 01年のメジャー1年目から、常に記録と戦い続けることを宿命づけられてきた。しかし昨季は184安打で打率・272に終わり、シーズン200安打、打率3割はともに10年連続でストップ。ゴールドグラブ賞、球宴出場も途切れた。38歳シーズンでのリスタート。2年ぶりの200安打はもちろん、高いレベルでのプレーをどこまで維持できるか。まずは準備万端でキャンプイン。イチローが、イチローであることを証明する1年の第一歩を踏み出した。

 ◆イチローの昨年の「始動」 キャンプイン前日の2月19日(日本時間20日)にピオリア入り。身体検査では前年と同じ体脂肪率6%を計測。その後はスカイブルーのジャージー、シューズ姿でキャッチボールに遠投、39スイングのトス打撃などを行い、翌日のキャンプインに備えた。

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2012年2月19日のニュース