失速 不協和音…原監督の誤算 勝負どころで消えた“2月の自信”

[ 2010年10月26日 17:36 ]

中日とのクライマックスシリーズ第4戦、マウンドでナインに声を掛ける巨人・原監督(右から2人目)

 2月の宮崎キャンプ最終日。原監督は「僕が尻をたたかなくても自分たちで判断して動けるようになってきた」と自信満々に選手を評した。指揮官の持論は「個々がリーダーの自覚を持つチームは強い」。2年連続日本一へ手応えを得ていた。

 実際、開幕直後から6月までは首位を快走した。亀井の大不振や、クルーンの不調で山口を先発から救援に配置転換する誤算はあったが、まだ致命傷ではなかった。
 だが、夏場に入ると成績が下降線をたどる。先発が早々に大量失点する試合が増え、救援の負担が増大した。追い上げる展開では、打線も淡泊な攻撃を繰り返した。原監督がマウンドで投手を激励する姿は昨年までほとんどなかったが、今季は目立って増えた。
 不協和音も出始める。2軍選手からは「いくら好成績を出しても1軍に上がれず、同じ選手ばかりが使われる」との声も聞かれた。優勝争いが佳境を迎え「今やらないで、いつやるんだ」と鼓舞する監督の声に、2月の余裕はなかった。勝ち続けることに慣れてしまったのか。ひとたび負の連鎖に陥ったチームに、逆境をはね返すたくましさはなかった。
 開幕前の手応えと、シーズンを戦う中での実情は違った。クライマックスシリーズを控えて原監督が長野、坂本、脇谷を直接指導したのは象徴的だ。苦い教訓を糧に、巨人は秋季キャンプから再スタートする。

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2010年10月26日のニュース