五十嵐「理屈じゃない」越年覚悟でメジャー挑戦

[ 2009年11月10日 06:00 ]

メジャーへの熱意を語った五十嵐は、車から手を振る

 フリーエージェント(FA)宣言の手続きが9日、スタートし、ヤクルトの五十嵐亮太投手(30)が権利を行使してのメジャー挑戦を表明した。東京・新橋の球団事務所で申請書を提出した後に会見。球団側は宣言残留を認める方針だが、五十嵐は越年覚悟で移籍先を模索する姿勢を示した。

 五十嵐の目には一点の曇りもなかった。「メジャーでどうしてもやりたい。あこがれもあるし理屈ではなく、行きたい気持ちが凄く強かった」。FA宣言の解禁初日に球団側へ申請書を提出。日本人最速タイの158キロ右腕が、夢の実現へ第一歩を踏み出した。
 メジャー挑戦は長年の夢だった。千葉敬愛時代に米国のスカウトが視察に訪れたことが始まりで「メジャー挑戦が当たり前の目標になっていた」という。国内FA権を獲得した昨オフは、球団側が提示した複数年契約を固辞して1年契約で残留。織江夫人へメジャー挑戦の希望を告げ、家族で渡米する確約を得た。今季は6月から家庭教師を雇って英語の勉強に励みながら、セーブ王に輝いた04年以来の50試合超となる56試合に登板。3勝2敗、29ホールド3セーブで、防御率3・19の成績を挙げた。
 ヤンキース・松井らを手掛ける大物代理人のアーン・テレム氏が大リーグ球団との交渉窓口になるが、近年のメジャーのFA市場は動きが遅く、トップ選手でも移籍先が決まるのはウインターミーティングが行われる12月上旬以降。五十嵐は日本人選手がここ数年、契約に苦戦していることも理解しており「希望球団はどこでも。我慢して待ちたい」と越年も辞さない覚悟を示した。
 メジャー契約がなかった場合は宣言残留を容認したヤクルトを最優先するが、けじめとして神宮のクラブハウスから荷物をすべて引き揚げ、今後は都内で自主練習を行う。「メジャーのマウンドで自分のボールを投げることを目標に向かっていきたい」。10月末に渡米してア・リーグ優勝決定シリーズのエンゼルス―ヤンキース戦(アナハイム)を観戦。そこで思い描いた自分の姿を現実のものにする。

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2009年11月10日のニュース