不惑のルーキー高橋健 デビュー戦で好投

[ 2009年5月4日 06:00 ]

フィリーズ戦でメジャー初登板したメッツ・高橋

 【メッツ5-6フィリーズ】不惑のルーキーが夢のマウンドに立った。メッツ・高橋建投手(40)が2日(日本時間3日)、敵地フィラデルフィアでのフィリーズ戦でメジャーデビュー。3回1死満塁のピンチを切り抜けると、昨季リーグ2冠のハワードから三振を奪うなど、2回2/3を1安打無失点に抑えた。40歳16日のデビューは投手では大リーグ史上3位の高齢記録。戦いの舞台を広島からニューヨークに移した左腕に、次回は先発の可能性も高まってきた。

 メジャー第1球は外角シュートだった。初登板は2―4の3回1死満塁という過酷な場面。初球、ビクトリノの痛烈な打球はグラブをかすめ腹部に直撃したが、落ち着いて投ゴロ併殺に。「あの1球で緊張が解けた」。日本で14年間、計433試合を投げ抜いてきた経験が、米国でも生きた。
 「何があってもいいように初回から準備していた」。27日の昇格から5戦目でようやく声がかかった。4回1死三塁では昨季リーグ2冠のハワードを直球で空振り三振。「メジャーでもやれるだろう。何歳だろうと関係ない」と脱帽させた。最速は89マイル(約143キロ)ながら、昨季の世界一軍団相手に2回2/3を1安打無失点に封じた高橋は「0点に抑えられたので、100点満点をあげていいと思う」と笑った。40歳16日でのデビューは日本人では桑田真澄氏(元パイレーツ)の39歳70日を上回り、メジャーの長い歴史の中でも投手では歴代3位の高齢記録だ。
 広島からFA宣言し、2月初めにブルージェイズとマイナー契約。しかし、オープン戦初登板で右ふくらはぎを痛め、そのまま解雇。それでも心は折れなかった。通告当日、メッツからオファーが届いてマイナー契約を交わすと、3Aで好結果を積み重ねメジャー切符を勝ち取った。本拠地ニューヨークではホテル暮らし。家族を日本に残しており、生活面は何もかも自分でやらなければならない。「(野球以外で)凄く疲れている」と打ち明ける40歳だが、グラウンドではおくびにも出さなかった。
 6回に味方が逆転し、一時は勝利投手の権利も得たが逆転負けで初勝利はお預け。しかし、そのチャンスは目の前だ。試合後、この日先発のペレスが不調により、ローテーションを外れることが決定。「何て発音するんだ。“タカヒシ”か?」と呼び方には慣れていないマニエル監督も「興味深い。今までと違う役割の候補」と先発起用を示唆した。「40歳になってもできるという姿が、いいように映ればうれしい」と高橋。不惑のオールドルーキーの挑戦はまだ始まったばかりだ。

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2009年5月4日のニュース