原巨人 まさか越智で…最後に方程式崩壊

[ 2008年11月10日 06:00 ]

<巨・西>マウンド上で汗を拭う越智(中央)

 【巨人3-4西武】6年ぶりの日本一が手からスルリとこぼれ落ちた。2点を先行しながら8回に今季フル回転の越智が打たれて逆転負け。自慢の打線も2点を先行しながら、2回からは24人連続アウトに封じられた。惜しくも自身2度目の日本一を逃した原辰徳監督(50)だが、伝説はまだ終わらない。気持ちを切り替え来年3月のWBCでは日本代表を率いて世界一を目指す。

 西武ナインがマウンドに集まるのを見ると原監督はベンチ裏へ消えた。ナインも次々とベンチを去った。渡辺監督の胴上げが始まる頃には一塁ベンチは空っぽ。その光景が悔しさを物語っていた。大一番で中継ぎエースが踏ん張れず、強力打線も沈黙。あと一歩、日本一に届かなかった。

 「負けたことは悔しい。ジャイアンツは、もう一つ課題を残した。8回は越智に託した?そうです。でも、打線も2回以降の攻撃でランナーが1人も出なかったね」

 坂本がソロを放つなど2回までに2得点。内海も6回途中まで1失点と力投し、あとは中継ぎ陣で逃げ切りを図った。だが、今季チームトップの68試合に登板し、今シリーズも4試合で無失点だった越智が2イニング目の8回につかまった。先頭の片岡への死球に足を絡められて同点。さらに平尾に適時打を打たれて降板した右腕はベンチで顔を覆い、うなだれた。打線も2回の坂本の一発以降は24人連続でアウト。9回は小笠原、ラミレスの最強コンビが簡単に倒れて“終戦”となった。

 日本一こそ逃したが、レギュラーシーズンではセ・リーグ最大となる13ゲーム差をはね返しての逆転連覇。CSでも昨季は敗れた中日を撃破した。伝説的な快進撃は決して色あせない。高卒2年目で遊撃に定着した19歳の坂本や、中継ぎの越智、山口ら来季へ向けた収穫も大きかった。原監督も「選手個々にも、チームにとっても意義あるシーズンだった」と手応えをにじませた。

 チームを奇跡のリーグ制覇に導いた手腕や経験が評価され、来年3月に行われるWBCの日本代表監督にも選ばれた原監督。ドラマチックなシナリオは世界の舞台へと続いていく。「その時々で巨人、WBCを切り替えたい」と激務に耐える覚悟もできている。休息は少ない。気持ちを切り替え、次は世界の頂点を見据える。

 ≪内海「悔しい」≫8回に逆転を許した巨人の越智が、敗戦の責任を背負った。シリーズ5試合目の登板で初失点を喫し、さらに四死球で走者をためてから、平尾に決勝タイムリーを浴びた。「負けたら何の意味もない」。一方、先発の内海は6回途中1失点と力投し「腕がちぎれてもいいくらいのつもりで投げた。悔しい気持ちを胸に焼き付けた」と振り返った。

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2008年11月10日のニュース