最初で最後かもしれない五輪の空手… 荒賀が銅メダルで示した“母国”の意地!

[ 2021年8月7日 21:17 ]

東京五輪第16日 空手・男子75キロ級 ( 2021年8月7日    日本武道館 )

準決勝でハメディ(左)に敗れ、荒賀はうなだれる(AP)
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 空手男子組手75キロ超級の荒賀龍太郎(30=荒賀道場)は準決勝でタレグ・ハメディ(サウジアラビア)に惜しくも敗れた。3位決定戦が行われないため、銅メダルが確定した。

 日本の組手勢では初の、そして唯一のメダル獲得。それでも目標としていた金メダルを逃し、荒賀は悔し涙が止まらない。インタビュアーから質問されても、10秒ほどの沈黙。「金メダルを目指して……」。さらに10秒ほど言葉に詰まってから、「今までやってきたことを全て出し切ろうと思いました」と絞り出すように口にした。

 沖縄県で生まれた空手は「KARATE」として世界に広がった。長らく五輪では採用されなかったが、今大会では追加種目として、日本の武道としては64年東京五輪の柔道以来、57年ぶりの正式競技となった。しかし、24年パリ五輪の実施競技からは外れており、28年ロサンゼルス五輪での復活も見通しは厳しい。最初で最後となるかもしれない五輪の空手…。だからこそ、日本としてはメダルラッシュといきたかったが、組手は男女3階級ずつの計6階級のうち、5階級で予選敗退。最後の砦が荒賀だった。

 「このような状況の中、オリンピックを開催していただいたことに感謝しています。日本発祥の空手、初めての空手のオリンピックの舞台で、日本代表として選ばれたからには、しっかりとプライドを持って、メダルなしでは帰れないと思って、畳の上に立ちました」

 最後まで笑顔はなかった。荒賀にとっては悔しい銅メダル。それでもプレッシャーがかかる中で“母国”にもたらしたメダルの意味は大きかったに違いない。

 ◆荒賀 龍太郎(あらが・りゅうたろう)1990年(平2)10月16日生まれ、京都府亀岡市出身の30歳。京都外大西高―京都産業大―荒賀道場。全日本選手権で優勝5回、16年には世界選手権を制した。空手一家の生まれで、両親が道場を経営。姉・知子は04年、06年の世界選手権53キロ級を連覇している。1メートル84、82キロ、82キロ。

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