リレー侍まさか…バトンミスで途中棄権 1走・多田―2走・山県につなげず

[ 2021年8月7日 05:30 ]

東京五輪第15日 陸上 ( 2021年8月6日    国立競技場 )

男子400メートルリレー決勝、無情にも多田(右)のバトンは山県に届かず(撮影・北條 貴史)
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 男子400メートル決勝で、前回銀メダルの「リレー侍」は、1走から2走のバトンがつながらず、ゴールができなかった。オーバーゾーンで失格になった96年アトランタ五輪予選以来の悪夢。5日の予選と同じ、多田修平(25=住友電工)―山県亮太(29=セイコー)―桐生祥秀(25=日本生命)―小池祐貴(26=住友電工)で臨んだが、金メダルの夢は途絶えた。イタリアが37秒50で初優勝した。

 悪い夢を見ているかのように、リレー侍の4人がコースを逆行しながら、重い足取りで歩いた。金メダルは決して、夢物語ではなかった。イタリアの優勝タイム37秒50は、19年世界選手権で出した日本記録37秒43に劣る。だが、バトンがつながらなければ、記録の出しようがなかった。「今、目の前で起こっていることが現実なのかと感じた」

 日本記録9秒95の2走・山県は、定まらない視線でそう語った。

 今年の日本選手権王者、1走の多田は「普段なら届く距離。つながらなかったのは僕の実力不足」と責任を背負い込んだ。

 5日の予選は「安全バトン」を心掛け、突破した8チームで一番遅いタイムだった。だが、決勝で決してギャンブルをしたわけではない。「無理のない、勝負にいける範囲」と山県。9レーンを駆け上がった多田のスピードも十分に見えた。だが、追いかけても追いかけても、山県の手は遠いまま勝負は終わった。3走桐生は腰に手を当てた。アンカーの小池は下を向いた。

 ボタンの掛け違いはいつから始まったのか。この4人で臨んだ日本開催の19年世界リレー大会予選では、3走小池―アンカー桐生でバトンミスをした。再び集まった際に、10年広州アジア大会のミスのビデオを見た。教訓としたはずだった。

 リレー強化のために100メートルと200メートルの2種目代表を認めないとした日本陸連の方針もチグハグだった。選手の反発を招いた。2種目で代表になりながら、100メートルに絞ったアンカー小池にしこりはなかったのか。

 大会に入ってからは、100メートルも200メートルも誰も予選を突破できず。史上最速とうたわれた短距離軍団は地元五輪で空回りした。

 ▼桐生祥秀 攻めた結果。銀か銅では満足していなかった。あのくらいのバトンパスをやる必要があった。

 ▼小池祐貴 この悔しさを忘れないで、ずっとこの気持ちを引きずって、いつか両手を上げて喜べるようになれば。

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2021年8月7日のニュース