沖縄初金メダルの喜友名諒、亡き母へ「優勝したよ」 沖縄の子どもへ「夢を追いかけ続ければ達成できる」

[ 2021年8月6日 20:57 ]

東京五輪第15日 空手男子形決勝 ( 2021年8月6日    日本武道館 )

<東京五輪 空手 男子形予選>予選で演武を行う喜友名諒(撮影・北條 貴史)
Photo By スポニチ

 空手の男子形で喜友名諒(31=劉衛流龍鳳会)が金メダルを獲得した。決勝では、28・72点をマーク。ダミアン・キンテロ(37=スペイン)の27・66点を上回り、沖縄県出身選手では初の金メダリストとなった。

 「まずは、本当に、この舞台に立ててることに感謝をしたいと思います。自分一人ではこの舞台に立つことはできなかったので、今は…すべてに感謝しかないです」と声を震わせた。

 演武後に畳に感謝の思いを伝えた。「まずは母親にしっかり優勝したよと報告をしました」と57歳で亡くなった母に思いを伝えた。そして沖縄県出身選手初の金メダルには「沖縄の子供たちにも、夢をあきらめず、追いかけ続ければ、しっかり達成できるということを知ってもらえたかなと思います。大きな目標だったり、希望を持って、自分の道にすすんでほしいと思います」と力強く語った。

 全日本選手権9連覇、世界選手権は4連覇、世界のトップ選手が集まるプレミアリーグ19回優勝はギネス世界記録に認定されている。国内だけでなく、世界を見渡しても喜友名の敵は見当たらない。コロナ禍のため11カ月ぶりの実戦だった昨年12月の全日本選手権で前人未到の9連覇を達成。2位に1・14点差をつける圧勝で92~99年の阿部良樹が持つ最多記録を更新した。あくなき向上心。決勝に向けても「初戦一つ目の形から28点台が出たので、決勝はもっと、満点を出せるようにしっかり調整してやりたい」と見据えていた。

 絶対王者にも試練があった。昨年7月には軽度の肺炎で入院。さらに全日本選手権後には新型コロナウイルスにも感染。順風な1年ではなかったが、鍛え抜かれた心技体を五輪の舞台でみせた。「まずは自分の空手を見せて、たくさんの方や子供たちに、大きな夢、希望を与えられたら」と話しきた思い。空手発祥の地でもある沖縄県へ悲願の金メダルをもたらし、日本、世界へと届く演武だった。

 ◇喜友名 諒(きゆな・りょう)1990年(平2)7月12日生まれ、沖縄県出身の31歳。5歳で空手を始め、全日本選手権は12年から9連覇、世界選手権は14、16、18年と3連覇中。18年2月を最後に国際大会で負けがなく、19年はアジア選手権4連覇を果たした。沖縄・興南高、沖縄国際大出。劉衛流龍鳳会。1メートル70、78キロ。

続きを表示

2021年8月6日のニュース