【柔道】左の釣り手中心に 堅実な自分の柔道貫き通した―上水研一朗氏の目

[ 2021年7月31日 05:30 ]

東京五輪第8日 柔道女子78キロ級 ( 2021年7月30日    日本武道館 )

女子78キロ超級決勝、体格で勝るオルティス(右)を攻め続け勝利した素根輝(撮影・小海途 良幹)
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 素根は最後までぶれることなく自分の柔道を貫き通した。彼女の一番の特長は、左の釣り手を中心とした姿勢の良さだ。相手が引きつけようとした時は下から距離を取り、逆に相手が距離を取ろうとすると上から肘を入れ込んで詰める。相手がどうすることもできない状況に追い詰めた上で、下からの時には体落とし、上から押さえた時には低い大内刈りを繰り出して堅実な柔道を展開した。

 詰め将棋と同じで、どういう形でやっても詰んでしまうことが分かっているので、決勝でオルティスは最後まで何もできなかった。日頃から十分な稽古量を積んでいることでスタミナには絶対の自信があり、そこに裏付けされた技術が乗っているので、最後まで崩れることはなかった。早々と代表に決まった分、1年延期の影響は大きかったかもしれないが、五輪で勝つという大きな目標があったので、むしろ緻密な準備ができたのだろう。

 原沢は初戦から気合十分だったが、最大のヤマ場だった準決勝で、相手が背中を外側から差してきた時に対応が後手に回った。初戦でポイントを奪った小内刈りを中心とした足技や、担ぎ技を使えばまた違った展開になったかもしれない。特に担ぎ技は今後世界で戦う重量級育成において、大きな課題になってくると思われる。(東海大体育学部武道学科教授、男子柔道部監督)

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2021年7月31日のニュース