日馬問題、場所後に全容解明へ 暴行現場にいた力士全員を聴取

[ 2017年11月20日 05:30 ]

両国国技館を出る日馬富士
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 日本相撲協会の危機管理委員会は19日、東京都墨田区の両国国技館で、横綱・日馬富士(33=伊勢ケ浜部屋)への事情聴取を初めて行った。鏡山危機管理部長(元関脇・多賀竜)は同日午後に福岡市内に戻り、本場所の取組中に異例の会見を開いた。詳細な内容は説明を避けたが、暴行現場にいた全力士の聴取を実施すると明言。本場所に出場している力士への聞き取りは場所後となるため、長期化は必至の情勢だ。

 平幕・貴ノ岩への日馬富士の暴行が行われた夜から3週間あまり、ようやく協会の当事者への事情聴取が行われた。

 大勢の報道陣が出入り口を取り囲んだ両国国技館。危機管理委員会の横綱への聞き取りは、午前10時すぎから始まった。メンバーは委員長の高野利雄氏(元名古屋高検検事長)と鏡山危機管理部長、さらに協会の顧問弁護士の3人が聴取に加わった。

 終了したのは正午すぎ。日馬富士は午後0時20分頃、迎えの車に乗り込み国技館を後にした。高野委員長は「彼(日馬富士)は淡々と事実関係に沿って話をした。矛盾なく話していた」と印象を語った。既に警察の捜査が進められていることもあり、詳細な内容については言及せず。ビール瓶の使用に関しても不明確な部分があるため、今後の調査で明らかにしていく考えだ。

 鏡山部長は聴取を終えるとその足で、九州場所が行われている福岡国際センターに戻った。理事長らへの報告を済ませた後、まだ取組が行われている午後5時すぎから会場内で会見を開き、「(日馬富士は)暴力を振るった事実は認めている。警察の捜査に支障を来さないように(聴取を)進めていきたい」と話した。協会が本場所の取組中にこうした会見を開くのは極めて異例。今回の問題について、文科省や政府内から協会の行動を注視する発言が出ていることなどから、関係官庁やファンに向けて迅速な行動をアピールする狙いもあったようだ。

 当初、協会側は本格的な調査を場所後としていたが、高野委員長は「最終的になるべく早く報告する」と説明。また、暴行当時の状況について、証言者によって食い違いが生じているため、鏡山部長は「(本場所に)出場している力士については、場所後に聴取を行う」と現場に居合わせた力士全員から話を聞く方針を改めて明らかにした。

 今回の件に関して15日以降はダンマリを決め込んでいた八角理事長(元横綱・北勝海)もこの日、鏡山部長の報告を受け、文書でコメントを発表。「できるだけ早く、事実関係を明確にすべく最大限の努力をいたします。再発防止の対策につきましても、協会の総力を結集して、講じていく所存です」と引き続き真相究明に当たる決意を強調していた。

 ▽危機管理委員会 日本相撲協会が不祥事の予防や発生した場合の適切な対応などを目的として12年に設置した。不祥事が起きた際には関係者への聴取などの調査を行い、協会への報告や処分案をまとめる役割を担う。協会の元外部理事の宗像紀夫氏(元東京地検特捜部長)が初代委員長を務め、16年に高野利雄外部理事が委員長に就任。力士出身者では尾車(元大関琴風)鏡山(元関脇多賀竜)春日野(元関脇栃乃和歌)の各理事もメンバー。

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