高田千明が「すごく気持ちよく試合ができた」帰国世界パラ陸上女子走り幅跳び日本新記録で銀メダル

[ 2017年7月23日 17:48 ]

高田千明とコーラーの大森盛一コーチ
Photo By スポニチ

 世界パラ陸上(ロンドン)女子走り幅跳び(視覚障害T11)に出場し、4メートル49の日本新記録で銀メダルを獲得した高田千明(32=ほけんの窓口)が23日、羽田空港に帰国した。

 「ここ最近、まっすぐに走れずファウルが多かった。今回は6本中2本あったけど、スピードに乗りすぎてのファウル。すごく気持ちよく試合ができた」。

 銀メダルを首にかけ、言葉が弾んだ。今季は踏み切りに重点を置いたために助走がおろそかになり、まっすぐ走ることができなかった。今大会に向けて、誰もいない競技場を借り、助走を一から見直した。バルセロナ、アトランタ両五輪出場のコーラー、大森盛一コーチが25メートル先から声を出し、その方向に向かって駆ける。

 「悪い時は1レーン分、斜めに走っていた」と大森コーチ。それを1本走り終わるごとに「体何個分、ずれたよと伝えた」と確認しながら矯正し、メダルへとつなげた。

 高校3年で完全に視力を失った。見えない世界を走って飛ぶ恐怖心はいかほどか。

 「音だけを頼りにして走って飛ぶというのは、“大丈夫”という気持ちがないと踏み切り姿勢にならない」

 幅跳びを始めた13年当初は、踏み切れずに走りきるばかりの状態が続いた。飛んだ先に砂場が本当にあるのかどうか、不安がつきまとった。「大森さんに“なんで飛ばねーんだ”と怒られて、言い返して大げんかをしたり…」。今では懐かしい思い出だ。

 夫の裕士は聴覚障害を持つ陸上選手で、小学3年生の長男・諭樹(さとき)君を育てるママさんパラアスリートでもある。家庭と競技を両立させるコツは?「自分一人で抱え込まないこと。任せることは人に任せればいいのです。1日掃除をしなくても、洗濯をしなくても死なないですよ」。子どもが小さい頃は、悩む時期もあったというが、今は自分なりの解決方法を備えているようだ。母は強しで、20年東京へと向かう。

続きを表示

2017年7月23日のニュース