碧山2敗死守 逆転Vなら琴欧州以来のブルガリア出身優勝力士

[ 2017年7月23日 05:30 ]

大相撲名古屋場所14日目 ( 2017年7月22日    愛知県体育館 )

碧山は押し出し豪風(左)を下す
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 優勝争いは2人に絞られた。平幕の碧山が豪風を下して2敗を守り、逆転優勝へ望みをつないだ。豪栄道をはたき込んで1敗を堅持した横綱・白鵬が単独トップ。千秋楽で白鵬が勝てば2場所連続39度目の優勝が決まる。碧山が勝って白鵬が負けた場合は優勝決定戦が行われる。碧山が優勝すれば、08年夏場所で優勝した元大関・琴欧洲(現鳴戸親方)以来、ブルガリア出身で2人目の優勝力士となる。

 白鵬に待ったをかけられる力士は、碧山だけになった。豪風がもろ差しを狙ってきてもかまわず前に出て1メートル91、195キロの巨体で押し出し。自己最多を更新する12勝目は、重戦車が樹木をなぎ倒すような光景だった。

 「当たってすぐ前に出た。中に入られたら出るしかない」

 馬力は抜群だが、熱くなる気性が災いし、ここ数年は空回り。そこで今場所から、三保ケ関親方(元幕内・栃栄)の助言で8割の力で立ち合うことを心掛けた。仕切りでの腹式呼吸も導入。これは同部屋の栃煌山を参考にした。「カッとならないように。腹に力を入れて、よく見てから立ち合うようになった」

 原点を思い出したことも、白星につながっている。「部屋で“じっくりと、膝をしっかり曲げるように”と言った。腰を落とすために。基本は忘れそうになるもの。だから厳しく言わないと」と春日野親方(元関脇・栃乃和歌)。師匠の教えを守って6月には基本を繰り返した。

 終盤に入り疲れもあるが、同じブルガリア人の新妻ビオレタ・トドロバさんとテレビ電話で毎日1時間話してリフレッシュ。「もう独りじゃない。笑顔をもらうと元気になる」と、愛情をパワーに変えている。

 同親方は「(優勝用の)タイはいつでも用意できる」と準備に怠りはない。12年2月に急逝した先代師匠、田子ノ浦親方(元幕内・久島海)は、碧山が11年名古屋場所で新十両に昇進した時「白鵬を倒す力士に育てたい」と夢を描いていた。同親方の死去で現在の部屋に移籍して5年あまりが過ぎた。千秋楽の本割で碧山が勝ち、白鵬が負ければ、優勝決定戦になる。そこで新旧師匠の願いをかなえるため、まずは本割に集中する。

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2017年7月23日のニュース