美乃里 初女王、五輪舞台で16歳快挙 JKサーファー地の利生かす

[ 2017年5月29日 05:30 ]

サーフィン女子QS3000一宮千葉オープン最終日 ( 2017年5月28日    千葉県一宮町釣ケ崎海岸志田下ポイント )

東京五輪のサーフィン会場で開催された国際大会の女子で優勝した16歳の川合
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 準決勝と決勝が行われ、日本人対決となった決勝は川合美乃里(16)が黒川日菜子(20)を下して優勝した。プロ最高峰のチャンピオンシップツアー(CT)の来季参戦権を争う予選シリーズ(QS)で、女子では2番目に格の高いQS3000で日本人が優勝するのは史上初めて。昨年12月に20年東京五輪の競技会場に正式決定した後では初の国際大会で、期待の16歳が地の利を生かした。

 感激の涙を流しながら浜に上がると、笑顔の仲間が次々と駆け寄った。その場で担がれガッツポーズを決め、砂浜を歩く最中にはファンからハイタッチを求められた。シャンパンファイトは未成年の川合に配慮して炭酸飲料に変更。歓喜のシャワーを浴びた女子高生は「こんなにグレードの高い大会で勝てるとは。本当に最高です」と喜びを爆発させた。

 準決勝では14、15年とCTに参戦していたストイル(オーストラリア)を残り30秒を切ってからの最終ライドで逆転。同じ徳島出身で「姉のように慕っている」黒川との決勝も最終ライドで逆転し、その後は先に波に乗る優先権を利用し、相手のライドを阻止するパドルバトルを制して逃げ切り勝ち。「自分の流れに持っていけた」と駆け引き巧者ぶりを発揮した。

 徳島時代は練習場所まで車で片道2時間をかけて通った。夢のCT参戦へ練習環境を変えるため、昨春家族3人そろって転居。川合と母あすかさんは志田下ポイントまで徒歩5分の場所に移り住み、川崎市内で再就職した父・勇一さんは、週末ごとに一宮町に通う。そんな大きな犠牲を払ったが、転居直後は連戦連敗。「やめようと思った」と心が折れた時期もある。

 復活のきっかけは以前からスポット指導を受けていた田中樹(いづき)プロに、本格的に教えを請うようになってから。技術と同等に戦術が重要なサーフィン競技で、状況判断力やメンタルを磨いた。元々あったライディング技術を試合で発揮できるようになった。

 転居後の昨年12月、志田下が競技会場に決定。現状でCTのトッププロが参加するか微妙で、地の利を生かせる川合の表彰台の可能性もゼロではない。運をも引き寄せる川合は「一番近い環境でやれているので、メダルを獲れるくらいの選手になりたい」と目を輝かせた。

 ◆川合 美乃里(かわい・みのり)2000年(平12)12月14日、徳島県生まれの16歳。両親の影響を受け6歳でサーフィンを始め、13歳でプロ転向。競技に打ち込むため、昨年4月に一宮町に転居。昨年は日本プロサーフィン連盟(JPSA)のグランドチャンピオンを獲得した。千葉・明聖高通信コース2年に在学中。1メートル61、53キロ。愛犬のトイプードルはオスながら「ティアラ」と名付けている。

 ▽格付けと競技方式 ワールド・サーフ・リーグ(WSL)が主催する世界最高峰のツアー大会がCTで、その下部大会がQS。CTにレギュラー参戦できるのは男子が34人、女子が17人と狭き門。QSは大会ごとに、優勝者に与えられるポイントが男子で1万〜1000、女子で6000〜1000と格付けされている。一つのヒート(試合)は一般的に、制限時間(30分が主流)内でポイント(最高10点)の高い2つのライディングの合計点で争われる。

 ▼黒川日菜子 優先権の使い方を間違えた。悔しいが、決勝に残ったのは初めてなので自信になった。

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