五郎丸 16年は個人にフォーカス まずはSRレッズで定位置
昨年のスポーツ界最大のニュースと言えば、ラグビーW杯での日本代表の歴史的3勝だろう。そのW杯で一躍時の人となったFB五郎丸歩(29=ヤマハ発動機)は、2月に開幕する世界最高峰リーグ「スーパーラグビー(SR)」のレッズ(オーストラリア)入りが決定。海外初挑戦で新境地を切り開こうとしている。SRには日本チーム「サンウルブズ」も今季から参戦。新たなスタートを切る五郎丸が、海外挑戦で目指すもの、日本代表への思いを語った。また、SR経験者4人が世界最高峰リーグを語った。
――W杯を振り返って。
「目標の8強入りは届かなかったですが、国内外にしっかりインパクトを残し、いい大会になった」
――何が一番のモチベーションになったのか。
「19年のW杯です。そこに向けて国内の環境を変えていかなければいけないと、一人一人思っていたからこそ、犠牲を払って見返りを求めず、これだけ頑張れたと思う」
――W杯後、多忙を極めている。
「プライベートの時間は取れないですよ。そういう時期なんだろうなと思います。ただ海外だとファンもある程度マナーのある接し方をしてくれる。日本ではファンが食事中にサインをしてとか、髪を切っている時にサインをしてとか、少しずれているなと思う」
――南アフリカ戦に勝った瞬間の気持ちは。
「僕が一番冷静だったと思う。ああ、勝ったと。その後にキックが控えていたので」
――ゴールキック後、堀江が駆け寄ってきたシーンが印象的だった。
「さすがリーダーだなと思いましたね。全体が見えているなと。おそらく五郎丸の所には誰も行かないから、行っておこう、みたいな。そういうバランスが取れている集団でしたね」
――4年後のW杯に向けては、態度を保留したままだが。
「変化はあまりないですね。15年W杯は最後のW杯と決めて臨んだ。だからこそ頑張れた。19年もやろうと思っていたら、どこかで先を見て妥協をしていたと思う」
――代表入りの要請があると思われるが。
「4年後にピークを迎える選手を育成してほしい。果たして4年後に僕がW杯以上のパフォーマンスを出せるかと言えば、分からない。まずは個人として海外でどこまで行けるかという勝負を、これから2年くらいはやりたいと思います」
――2月からは海外に初挑戦する。
「海外に挑戦したいという気持ちはW杯を戦う中で少しずつ湧いてきました。南ア=強い、僕らになんて全然手が出ないと思っていたら、あの結果が出て、もしかしたら世界に手が届くかなと少しずつ思いました。僕自身、現役はそう長くない。新たな道を切り開いていきたいなという気持ちが強くなった」
――チームの印象は。
「非常にサポーターが熱い。昨年は低迷しましたけど、優勝経験をしているので勝つ文化を持っている。素晴らしいスタジアムも持っているし非常に楽しみですね」
――なぜサンウルブズではなく、海外のチームを選んだのか。
「これから2年はいろんな失敗をしたいと思っている。国内だと自分の地位はほぼ確立されている。チーム内でも基本的には15番を着られるが、それをゼロに戻してチャレンジできるという楽しみがある。早大1年の時に大きく成長できたという実感がある。本当にジャージーを着たくてがむしゃらにラグビーをしていた。人間はそういう時が一番伸びると思うのですが、そういう環境に身を置ける。16年は個人にフォーカスして、五郎丸歩という選手がどこまでいけるか挑戦したい」
――目標の数字は。
「まずはジャージーを着ることが最優先。今までの地位や名誉を全部捨てて、どれだけできるか。一刻も早くジャージーを着て、プレーで表現する。なので数字は出せないです」
――子供の反応は。
「コアラの国に行くと言ってます。地図があるので、ここに行くんだよという話はした。あんまり分かってないですけどね(笑い)」
◆五郎丸 歩(ごろうまる・あゆむ)1986年(昭61)3月1日、福岡県福岡市生まれの29 歳。3歳からラグビーを始め、佐賀工高では3年連続全国大会に出場。早大では1年からレギュラーをつかみ、3度の大学日本一に貢献。08年4月にヤマハ発動機入り。代表初キャップは05年4月16日のウルグアイ戦。昨年のW杯では全4試合に先発し、チーム最多の58得点を挙げ、マン・オブ・ザ・マッチに2度輝いた。日本代表通算57キャップ。同通算711得点は歴代最多。1メートル85、99キロ。
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