【松岡修造の目】泥くささの中に見た、圭の選択力の強さ

[ 2015年10月10日 07:30 ]

松岡修造氏

男子テニス楽天ジャパン・オープン第5日 シングルス準々決勝 錦織圭 3―6、7―5、6―3 マリン・チリッチ

(10月9日 東京・有明テニスの森公園)
 本当に泥くさいテニスだった。だけど醜くてもいいという圭の選択力の強さを感じさせたゲームでもあった。

 開始直後は良いプレーで気持ちの充実も感じさせた。ターニングポイントは3ゲーム目だ。圭の強打をチリッチが強打で返してきた。これは全米オープンの時と同じ展開で、一気にパワーで押された。圭はパワーで押されるのをひどく嫌がる。チャンスがあったのにブレークもできなかったことで流れが変わった。

 まずはリズムが崩れてサーブが入らなくなった。第1セットの第1サーブは45%。もう一つはストロークの位置が変わってしまった。後ろに下がったことで、ベースラインの内側に入って攻めるいつものテニスができなかった。第2セットもあまり変わらず、ブレークポイントがあってもチリッチのミス。圭がストロークでエースを取ったわけじゃなかった。

 体重が前に乗っていないからフォロースルーの手は上に上がってしまう。これをやると肩にダメージも来る。しかし思い通りにいかないそんな状況でもトップ選手に勝てた。しかも重圧のかかる日本で。これは凄く大きな収穫だと思う。

 準決勝で戦うペアは意味不明、理解不能なプレーをする。リードしていてもラケットは投げるし、ボールは屋上に打つ。もう宇宙人とやっていると思うしかない。宇宙に対しては圭も宇宙返しするしかない。 (スポーツキャスター)

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2015年10月10日のニュース