錦織、因縁チリッチを逆転撃破!10日準決も“雪辱戦”

[ 2015年10月10日 05:30 ]

第1セット、バックハンドでボールを拾う錦織の影が美しく映える

男子テニス楽天ジャパン・オープン第5日

(10月9日 東京・有明テニスの森公園)
 世界ランキング6位で第2シードの錦織圭(25=日清食品)が因縁対決を制して準決勝進出を決めた。4大大会初優勝を懸けた昨年の全米オープン決勝で敗れた世界14位のマリン・チリッチ(27=クロアチア)に3―6、7―5、6―3で逆転勝ち。23本のエースを叩き込まれながらもしぶとく勝利をもぎ取った。10日の準決勝では、今年の全米オープン1回戦で敗れた世界32位のブノワ・ペア(26=フランス)と2日続けての“雪辱戦”に挑む。

 試合前のウオーミングアップを終えた錦織は、練習コートから会場までカートに乗ってファンの間を移動した。数限りない視線が注がれ、歓声がそこかしこから聞こえる。「動物園にいるライオンってこんな感じなんだ」とそんなふうに思ったという。

 観客数は月曜日から連日の1万人超えを記録し、日増しに盛り上がりを見せている。「たくさんの人に見られるのはうれしい」。しかし客寄せ「パンダ」ではなく、百獣の王の「ライオン」だ。プレッシャーにおびえて牙を潜めることなく、コートに立てばしっかりとチリッチに牙をむいた。

 「出だしから自分の方がいいテニスをしていた。悪くないのは分かっていた」。ブレークポイントはチリッチの3本に対し、錦織は9本。第1セットを落とし、23本のエースを浴びながらも「相手のサーブがいいのは気にせずワンチャンスを待ってプレーした」。錦織の嗅覚はいつか捉えられる確信を持っていた。

 第2セット、6―5で迎えた第12ゲームでそのワンチャンスが訪れた。急角度で跳ねるチリッチのスピンサーブに思い切り踏み込み、バックハンドで何とか打ち返す。ボールはネットをかすめ、球威が落ちたことでチリッチのミスを誘った。第1セットの最初のプレーでは、そのサーブを空振りしてエースを奪われていた。しかし土壇場のブレークチャンスできっちり対応してみせた。

 第3セット第3ゲームの後にはテーピングをしていた右肩の治療を受ける場面もあった。「ちょっと痛かったけど大丈夫」と直後の第4ゲームで再びブレークに成功。昨年の全米で敗れた因縁のチリッチを日本のファンの前で退けた。

 大会の主役として準決勝まで勝ち残り、会見では少し解き放たれたようなリラックスした笑顔も見せた。今度は今年の全米で1回戦負けを食らったペア。「嫌な思い出があるので、どっちかというとやりたくない相手」と言いつつも「もう少し作戦を考えないといけない」と牙を研ぐ錦織には連覇という獲物も視界に入ってきた。

 ▽14年全米オープン決勝 第10シードの錦織は同じく4大大会初の決勝進出だった第14シードのチリッチと対戦。過去の対戦成績では5勝2敗と勝ち越していたが、3―6、3―6、3―6のストレートで敗れた。緊張感から「試合に入り込めなかった」という錦織は、第1セットの第1ゲームでブレークチャンスを生かせず、その後はミスを連発。チリッチの好調なプレーに攻略の糸口を見つけられず「ずっと迷走している感じだった」と1時間54分で完敗した。

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