照ノ富士 大関昇進伝達式で決意の口上「さらに上目指す」

[ 2015年5月28日 05:30 ]

大関昇進の伝達を受けた照ノ富士(中)は笑顔を見せる(右は伊勢ケ浜親方、左は伊勢ケ浜親方夫人の淳子さん)

 大相撲夏場所で初優勝した照ノ富士(23=伊勢ケ浜部屋)の大関昇進が27日、日本相撲協会の理事会で正式に決まった。東京都江東区の伊勢ケ浜部屋で行われた昇進伝達式の口上では、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)の横綱昇進時と同じ「心技体の充実」の言葉を用い、横綱昇進を次なる目標として宣言した。照ノ富士は春場所で13勝、夏場所は12勝で優勝し、吉葉山以来64年ぶりに三役を2場所で通過。平成生まれ初の大関となった。

 大きな体に似合わぬ小さな声ではあったが、覚えた言葉をよどみなく並べた。使者として派遣された友綱親方(元関脇・魁輝)と桐山親方(元小結・黒瀬川)から大関昇進を伝えられると、照ノ富士は「謹んでお受け致します。今後も心技体の充実に努め、さらに上を目指して精進致します」と口上を述べた。

 2日前に師匠からアドバイスをもらって決めたという口上。師匠が90年の横綱昇進時に「横綱の名を辱めぬよう全力を尽くして努力精進し、健康に注意しながら心技体の充実に努めます」と述べた口上がベースになっている。四字熟語は使わずシンプルに今の思いをまとめた。何百回と繰り返し練習しただけに「ちょっと緊張したけど、うまくできてよかった。落ち着きました」とホッとした笑顔を見せた。

 大関昇進の口上の中で横綱昇進の目標を掲げるのも珍しい。「その上は1つしかない。それを目指して頑張りたい」。春場所前に「年内に大関昇進」と宣言してわずか2場所で実現した男は新たな目標を晴れの場で公言し、退路を断った。

 伊勢ケ浜親方も背中を押す。照ノ富士は2年前に閉鎖となった間垣部屋から伊勢ケ浜部屋に移籍し、厳しい稽古に泣きながら食らいついて力をつけてきた。それでもまだ粗削りで「覚えなきゃいけないことがたくさんある中で大関に昇進してる。先々が楽しみ」と伸びしろが多いと指摘する。大関以上になれば、稽古は自主性が尊重されることが多いが「もっと厳しくなるでしょうね」と同親方。名古屋場所(7月12日初日)へ向けて来月11日から恒例の大阪合宿も始まるが、「1回くらい泣かそうかな」とニヤリと笑い、これには隣で聞いていた照ノ富士は苦笑いするしかなかった。

 それでも覚悟はできている。「横綱はなりたいと思ってなれるものじゃない。神様が選ぶもの。選ばれるように頑張りたい」。新たな目標実現へ向けて、新大関は腹をくくった。

【照ノ富士プロフィル】
☆本名 ガントルガ・ガンエルデネ
☆生まれ 1991年11月29日、モンゴル・ウランバートル
☆サイズ 1メートル91、178キロ
☆家族 父・ガントルガさん(49)、母・オユンエルデネさん(45)、姉・オルホントゥングラガさん(27)、妹・アノダリさん(13)
☆初土俵 11年5月技量審査場所
☆新十両 13年秋場所
☆新入幕 14年春場所
☆通算成績 169勝87敗(24場所)
☆幕内成績 73勝47敗(8場所)
☆得意 右四つ、寄り
☆あだ名 ガナ
☆好きな食べ物 焼き肉、しゃぶしゃぶ

 ▽大関の待遇 横綱と並ぶ看板力士。月給は横綱の282万円に次ぐ234万7000円で、三役(関脇、小結)より65万4000円アップする。2場所連続で負け越さない限り、転落しない。関脇に落ちても、その場所で10勝以上挙げれば、大関に復帰できる。横綱昇進には2場所連続優勝かそれに準ずる成績が必要となる。各種の行事に協会代表として出席する。

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