竹谷「複雑」V 並んでいた李に2罰打でプレーオフなし

[ 2014年6月23日 05:30 ]

優勝カップを手に笑顔の竹谷佳孝

男子ゴルフツアー 日本ツアー選手権森ビル杯最終日

(6月22日 茨城県笠間市 宍戸ヒルズカントリークラブ西コース=7402ヤード、パー72)
 首位から出たプロ9年目の竹谷佳孝(34=エー・エム・エス)が8バーディー、4ボギーの68で回り、通算17アンダー、271でツアー初優勝を飾った。18番のボギーで李尚熹(イ・サンヒ、22=韓国)と17アンダーで並んだかと思われたが、11番で規則違反があったとして李に2罰打が科され、竹谷の優勝が決まった。
【最終R成績】

 初めての勝利は少しばかり微妙な味がした。竹谷は「こういう結果になって複雑だが、優勝したことは素直にうれしい」とかみしめるように話した。上がりの2ホールで連続ボギー。同組でパーセーブした李尚熹に17アンダーで並ばれ、プレーオフに突入するかと思われた。しかし、李尚熹が11番グリーンのライン上で右手の指を地面につけた動作が問題になり、競技委員がビデオ映像を確認。李尚熹への2罰打が決まり「18番のボギーが悔しく、プレーオフで借りを返そうと思った」と練習グリーンでパットの調整に励んでいた竹谷に、ラウンド解説を務めていた羽川豊から優勝が伝えられた。

 息詰まる李尚熹とのデッドヒート。8番で通算14アンダーで並ばれたが「狙った場所に打てば入るという感覚はあった」と得意のパターが止まらなかった。9番で7メートル、10番パー5はピンまで6メートルに2オンして2パット、11番は7メートル、12番は5メートル、13番は3・5メートルと圧巻の5連続バーディーだ。17番でボギーを叩いて1打差にされ「緊張やプレッシャーがあったのかも。タイミングが狂った」と18番は第1打を大きく左に曲げた。崖下からの第2打はフェアウエーに戻すのが精いっぱい。3オン2パットのボギーで17アンダー。ホールアウト後に李尚熹の規則違反発覚で優勝が転がり込む形となったが、ツアー初Vで日本タイトルを手にしたことの価値は揺るがない。

 34歳の苦労人。常日頃から「家族の理解がないとここまで来られなかった」と口にする。この日は慶子夫人(30)が初めて応援に駆けつけた。「良かったです。シード獲得が今年の目標だったのでうれしい」と18番グリーンで優勝カップを掲げる夫をまぶしそうに見つめた。優勝賞金3000万円を獲得し、慶子夫人は「婚約指輪をもらってないので大きいダイヤの指輪が欲しい」とリクエスト。「約束はしていたので…」と苦笑いした大黒柱だが、今後の夢は賞金王。一皮向けた34歳が夢への一歩を踏み出した。

 ◆竹谷 佳孝(たけや・よしたか)1980年(昭55)1月27日、山口県出身の34歳。小学1年生から野球に親しみ、山口・宇部鴻城高では50メートル走6秒00の俊足を生かしてレギュラーとして活躍。高校2年時に腰のケガで野球を断念。卒業後は九州ゴルフ専門学校で本格的にゴルフに取り組む。得意クラブは1Wとパター。家族は慶子夫人(30)と長女・祐泉(ゆい)ちゃん(5)と長男・一優(かずひろ)くん(1)。1メートル69、66キロ。

 《19人目》初優勝がメジャー大会の選手は羽川豊(81年日本オープン)、伊沢利光(95年日本オープン)、池田勇太(09年日本プロゴルフ選手権)らで竹谷で19人目。ツアー選手権が初優勝だった選手は09年の五十嵐雄二、11年のJ・B・パク、12年の藤本佳則、13年の小平智で竹谷で5人目。

続きを表示

2014年6月23日のニュース