朝青龍 騒動封印する大技!優勝ほぼ手中に

[ 2010年1月23日 06:00 ]

琴欧洲をかいなひねりで破る朝青龍

 暴力騒動などまるで気にしていなかった。大相撲初場所13日目は22日、東京・両国国技館で行われ、横綱・朝青龍(29=高砂部屋)が大関・琴欧洲を自身初となる「かいなひねり」で下し、優勝に王手をかけた。この日発売された写真週刊誌フライデーで暴力騒動が報じられたが、モンゴル仕込みの大技を披露して居直るなど“らしさ”全開。2敗だった横綱・白鵬が魁皇に敗れて3敗に後退したため、14日目の日馬富士戦に勝てば、千秋楽を残して2場所ぶり25回目の優勝が決まる。

 朝青龍の辞書に“謙虚”という文字はないのだろう。そのふてぶてしさを如実に表したのが、この日の琴欧洲戦だった。1回目で間合いが合わず、2回目の立ち合い。右を張って左前みつをつかむと、低く頭をつけた。ともに低い体勢での攻防が続いたが、次の瞬間、朝青龍は琴欧洲の左手首を両手でつかんで内側にグイッとひねり、2メートル3の巨体を土俵上に転がした。会心の勝利に、これまで何度も物議を醸した禁断の?ガッツポーズまで右手で突き上げた。
 決まり手のかいなひねりはモンゴル相撲の大技だが、相撲界では自身初。「稽古では出してるんだ。何かやらないとと思った。イチかバチかだった」。幕内では41手目。過去最多は元小結・旭鷲山の44手だが、現役ではトップに立った。取組後、「業師ですね?」と言われると「ホントですか」と照れ笑いも浮かべた。
 この日発売された写真週刊誌フライデーで暴力騒動を報じられた。16日未明に東京都港区内にある飲食店で泥酔状態となり、同席した個人マネジャーの一宮章広氏(31、先代高砂親方=元小結・富士錦=の次男)と口論。両手で同氏の肩付近を小突き、パトカー2台が駆け付ける騒ぎとなったというものだ。
 これを受け、師匠の高砂親方(元大関・朝潮)がこの日、武蔵川理事長(元横綱・三重ノ海)に謝罪。理事長も苦言を呈したが、本人はどこ吹く風だ。「大したことないよ。あれは」と一笑に付した。また、支度部屋の風呂から上がると、事件の被害者である一宮マネジャーの腰をポンとつつき、これには一宮マネジャーも苦笑い。2人の間ではケリがついているようだが、問題が解決したわけではない。
 だが朝青龍は、場所直後に理事長が注意する意向であることを伝え聞くと、露骨に不快感を示した。「呼ばれれば行くか?」の問いには「そういうことじゃない」と吐き捨てた。25日の横綱審議委員会でも騒動が取り上げられることは確実だが、問題横綱の暴走に歯止めをかけるのは難しそうだ。
 2日間を残し、白鵬ら4人の3敗力士に2差をつけた。きょう23日の日馬富士戦に勝てば、優勝が決まる。暴力騒動など忘却のかなたへと追いやった横綱は「自分自身に負けないで、集中して自分らしい相撲を取っていきたい。攻めも速いし、前に出ていると思う」と何事もなかったかのように話した。土俵はもちろん、夜の繁華街でも圧倒的な存在感を見せつける居直り横綱が、このままのさばり続けていいのだろうか。

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2010年1月23日のニュース