存在感薄かった朝青龍 集中力「再スタート」でV

[ 2010年1月23日 20:37 ]

大相撲初場所14日目で単独史上3位となる25度目の優勝を果たし、タイを片手に喜ぶ横綱朝青龍(中央)

 【朝青龍25度目V】絶妙の間合いで琴欧洲をかいなひねりで転がした13日目のように、今場所の朝青龍は相手の動きが実によく見えている。

 この日もそうだ。右四つがっぷりで土俵中央。引きつけ合いから日馬富士の足がそろうと見るや、右下手投げで仕留めた。「左の握力がどんどん駄目になったけど、タイミングを待っていたよ」。全力を出し切った後の心地よい疲労感が、柔らかな笑顔ににじむ。北の湖を超え、単独史上3位の25度目の優勝に「ブロンズ(銅)メダルだね」と、ちゃめっ気たっぷりに喜んだ。
 年間最多勝記録を更新した白鵬の陰に隠れ、場所前から存在感は薄かった。昨年末には「白鵬が出てきたから、おれは駄目になったんだ」と悔しそうにつぶやいたほど。しかし負けん気こそがこの男の真骨頂で、「昨年の9月あたりから集中力が再スタートした」と独特の言い回しで賜杯奪還の理由を説明した。
 日本人力士の台頭や世代交代が叫ばれる中、ちょうど1年前は引退と背中合わせだった朝青龍の優勝で2010年の幕が開くとは何とも皮肉だ。当の本人は「すごく燃えるものがある」と6連敗中の千秋楽の白鵬戦に早くも意欲をみせ、「内館さんの最後に花を添えられて良かったよ」と場所後の会合で任期を終える横綱審議委員会の内館牧子委員を気遣う余裕ぶりだ。
 終盤戦で崩れた白鵬を筆頭にふがいない周囲の力士たちも、9月に30歳を迎える朝青龍の存在を輝かせている。

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2010年1月23日のニュース