セリーナ 日本人女性線審に暴言…警告負け

[ 2009年9月14日 06:00 ]

警告を伝えに行く日本人女性線審(右)とセリーナ

 テニスの全米オープン第12日は12日、ニューヨークのビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンターで行われ、女子シングルス準決勝で2年ぶりにツアー復帰したキム・クライシュテルス(26=ベルギー)が、2連覇を狙ったセリーナ・ウィリアムズ(27=米国)に6―4、7―5で勝ち、優勝した05年以来の決勝に進んだ。第9シードのキャロライン・ウォズニアッキ(19=デンマーク)もストレート勝ちし、4大大会初の決勝進出。10日に中断となった男子シングルス準々決勝では第3シードのラファエル・ナダル(23=スペイン)が準決勝に進んだ。(ニューヨーク・山口奈緒美通信員)

 前代未聞のゲームセットだった。第2セット、クライシュテルスの6―5で迎えた第12ゲーム。15―30の場面でセカンドサーブを線審にフットフォルトと判定されたセリーナが線審に暴言を吐いた。第1セットにラケットで地面を叩いたのに続く警告でポイントが入り、あっけなく試合終了。後味の悪い決勝進出決定に、クライシュテルスは「自分のマッチポイントに集中していた。予想もしない結末で残念」と表情をこわばらせた。

 最後はあっけない幕切れだったが、試合はコーナーを突く切れのいいショットで前年覇者を追い詰めたクライシュテルスの快勝だった。結婚、出産を経て復帰3戦目。ママさん選手の4大大会決勝進出は80年のウィンブルドンを制したイボンヌ・グーラゴング・コーリー(オーストラリア)以来。ウィリアムズ姉妹を同一大会で撃破したのは初めてで、29年ぶりの快挙が見えてきた。

 ≪杉山の引退惜しむ≫女子日本のエース、杉山愛の引退表明について、ダブルスを組んだ経験のあるクライシュテルスが記者会見で言及し「数週間前に今回が最後のグランドスラムと聞いた。悲しい。せっかく私がツアーに戻ってきたのにもう少し一緒にいたかった」と惜しんだ。ダブルスでは03年全仏、ウィンブルドン選手権で優勝した。「彼女は自分の調子が悪くても200%のことをしてくれる人。いつも笑顔でツアーで会うのが楽しみだった」と、しみじみと話した。

 ≪セリーナ「殺してやる」≫セリーナは日本人女性線審に「殺してやる」と暴言を吐いたとして警告を受けた。「私は脅してなんかいない。何を言ったのかは…もう覚えていないわ」と否定したが、過去7勝1敗と相性の良かったクライシュテルスに敗れて2連覇の夢は消滅した。試合後は自ら相手の元へ歩み寄って握手し、ブーイングを浴びながら退場。記者会見で懸命に平静を装う姿が痛々しかった。

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2009年9月14日のニュース