朝青龍 気迫の相撲で初日白星発進

[ 2009年9月14日 06:00 ]

朝青龍(右)は、把瑠都を寄りきりダメ押しで土俵外へ吹っ飛ばす

 大相撲秋場所初日(13日・両国国技館)、横綱・朝青龍(28=高砂部屋)が小結・把瑠都(24=尾上部屋)を寄り切りで下し、白星発進した。3場所連続で優勝を逃し、場所前の稽古でも精彩を欠く中、184キロの巨体を2度もつり上げる気迫の相撲。最後はダメ押し気味に土俵下へ吹っ飛ばすなど“らしさ”も取り戻した。横綱・白鵬(24=宮城野部屋)も難敵・安美錦に快勝。上位陣では大関・千代大海に土がついた。

【取組結果


 朝青龍にふてぶてしさが戻った。1メートル98、184キロの巨体を2度もつり上げる会心の勝利。土俵上では「どうだ」と言わんばかりに口をへの字に曲げた。
 立ち合いに全神経を集中していた。痛めている左ひじを突き上げ、把瑠都の巨体を大きくのけぞらせた。労せず左の前ミツを取り、右も差し込んでもろ差し。そこから巨体を2度持ち上げ、粘る相手をダメ押し気味に吹っ飛ばした。通路まで飛んでいった把瑠都は、相撲協会映像部のスタッフと激突。衝撃でカメラが壊れたほどだった。

 初日の対戦が決まった11日、把瑠都に「(横綱を)つり上げる」と挑発された。その発言を意識したかのような取り口で白星発進した。ところが支度部屋では終始、仏頂面。何を聞かれても生返事で「まあ、立ち合いが良かったね」と口にすると、足早に帰りの車に乗り込んだ。

 名古屋場所で10勝に終わり、横綱昇進後初めて3場所連続で優勝を逃した。場所前の稽古は力負けする場面も目立ち、横審などから批判されたが、闘争心は衰えていなかった。土俵入りでは三つぞろえの化粧まわしを一新。全盛期だった4年前、占い師の細木数子さんから贈られた「赤富士」に替え、当時の気持ちを思い出した。武蔵川理事長(元横綱・三重ノ海)も「立ち合いの当たりが良かった。考えて取っているし、いいスタートを切ったのでは」と評価する好スタートとなった。

 千秋楽の27日に29回目の誕生日を迎える。関係者によると、入門以来実現していない「バースデー賜杯」を意識しているという。記録に異常なまでの執着心を持つ男は、新たなターゲットに照準を定めたようだ。

 ≪把瑠都の突撃で映像“お蔵入り”≫把瑠都がぶつかった相撲協会映像部のカメラはバッテリーが破損し、この日は民放などへの映像を配信できなくなった。カメラは場内に3台が配置されているため全体の取組は配信できたが、把瑠都が通路を突進してくる迫真のシーンなど、このカメラで撮影した映像は残念ながら“お蔵入り”となってしまった。

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2009年9月14日のニュース