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【三宅哲夫の旅ヂカラ漫遊記】韓国初海上ケーブルカー 100Mの空中散歩

[ 2016年3月9日 05:30 ]

100メートル上空の空中散歩。キャビンの床は全面ガラス張りで韓国初の海上ケーブルカーは迫力満点
Photo By スポニチ

 今回は初の海外、韓国――。ここ数年、日本人観光客が減少している同国だが、12年の麗水(ヨス)海洋万博跡地(エキスポ海洋公園)に初の海上ケーブルカーができたり、百済歴史遺跡地区が世界遺産に認定されるなど新たな見どころが誕生。特にケーブルカーは床がガラス張りで迫力満点。高速鉄道KTXに乗って南西部の全羅道(チョルラド)地方を回った。

 身が切れるほど寒いソウル市の龍山(ヨンサン)駅から最高時速305キロのKTXで約3時間半。海洋公園のある麗水市は周囲に365の島が点在するリアス式海岸の港町。マリンブルーの海は柔らかな日差しを浴びてやさしく輝いていた。

 その100メートル上空を通って、陸地の紫山(チャンサン)公園と突山島(トルサンド)の公園約1・5キロをつなぐのが韓国初の海上ケーブルカー。当初は万博(12年5~8月)に合わせて開通する予定だったが、2年遅れの14年12月に約32億円かけて完成。売り物は50台のキャビンのうち床がガラス張りの10台の「クリスタルキャビン」(5人乗り)だ。

 麗水エキスポ駅からバスで約10分。紫山公園から乗り込むとすぐに海の上。足元から直接青いじゅうたんのような海がのぞけ、貨物船が横切っていく。顔を上げれば左手に文禄・慶長の役で豊臣秀吉軍と戦った将軍・李舜臣(イ・スンシン)が考案したという亀甲船にちなんだ亀甲船大橋(全長1・2キロ)、後方に今月下旬から4月にかけツバキ(4000本)の花が見頃を迎える梧桐島(オドンド)。風でちょっぴり揺れるスリル感も楽しみながら突山島公園まで約10分。まさに空中を散歩しているようだ。

 ケーブルカーを降りてもジオラマ的景観は変わらない。高台にある同公園からは全長450メートルの突山大橋、麗水の街が一望の下。麗水駅に戻り不要になったセメントサイロ(貯蔵塔)を再利用して造られた高さ73メートルのスカイタワー最上階(20階)に上ると、レーザーなどで幻想的な映像を作り出す巨大円形造形物ビック・オーや韓国最大級アクアリウム、テーマ館などが残る海洋公園が眼下に広がる。

 「万博開催を機に麗水市への観光客は増えている」と万博関係者。大統領出身者が金大中氏だけということから、南東部の慶尚道(キョンサンド)に比べ観光的に苦戦を強いられているといわれる全羅道だが中心都市にそんなイメージはまるでなかった。

 ≪世界遺産の中にある謎深き「王宮里遺跡」≫麗水への分岐点となる益山(イクサン)駅からバスで約30分の弥勒寺址(ミルクサジ)、そこから同10分の王宮里(ワングンニ)遺跡は昨年7月、他の6カ所とともに「百済歴史地区群」として世界遺産に認定されたばかり。ともに韓国ドラマ「ソドンヨ」のモデルになった武王(在位600~641年)と関連の深い遺跡で、前者は武王が建立した百済国最大の寺院。伽藍(がらん)を3つの院で構成するという独特の配置で、一部だけ残っていた9層の石塔(高さ約20メートル)が来年7月、再建される。後者は武王時代に造成された南北約490メートル、東西約240メートルの王宮址といわれるが、今は高さ8.5メートルの5重の石塔が残るだけ。金堂跡や講堂跡などが発掘されたことから、王宮を撤去した上に寺院が建てられたと推定され、なぜ王宮から寺院に変わったのかが謎を呼んでいる。

 ≪奥が深いビビンバ≫韓国料理といえばビビンバ。韓国伝統の建物、韓屋(ハノク)が約800軒密集する韓屋村が人気の全州(チョンジュ)市で味わった。専門店が20軒以上ある本場で、さっとゆでた豆もやし、ほうれん草、ワラビなどの野菜と炒めた牛肉やユッケなどをご飯の上に盛りつけ、コチュジャンと混ぜて食べるビビンバは絶品。辛さの中にもちょっぴり甘さがあって、実に奥が深い。1200円ほどで食べられる。

 ▽行かれる方へ 成田空港から仁川(インチョン)空港へ飛行機で約2時間40分。ケーブルカー料金は往復で普通キャビン1300円、クリスタル2000円。問い合わせは韓国観光公社東京支社=(電)03(5369)1755。取材協力・韓国観光公社。

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