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【さくらいよしえ きょうもセンベロ】豚すじ煮に香る煮込みの新世界

個性豊かなスタッフに囲まれる金子さん(左から3人目)
Photo By スポニチ

 5月の風に誘われて、センベロライター・さくらいよしえが訪れたのは東京・五反田の「かね将(しょう)」。創業34年の人気店は定番のモツ焼きはもとより鮮魚も充実。さらに煮込みには…南国の風が賑(にぎ)やかな店内を吹き抜けた。

 芝浦の食肉市場に近い五反田はモツの穴場が潜む町。夕方4時すぎ、開店を待ちきれない客が赤提灯(ちょうちん)めがけやってくる。入り口は2つ。正面下手は1人飲みが心地良いミニ部屋(元スナックを合体)、厨房(ちゅうぼう)を挟んで上手はテーブル席の部屋だ。

 当店、モツ焼き専門だが毎朝築地から仕入れる魚介も評判。透明感のある赤貝ヒモにアオヤギ、生きのいいカンパチなど魚好きをうならせる。

 でも、それだけではなかった。進化し続ける異国情緒が漂う美食どこ。

 創業は1983年(昭58)。法学部を5年もかけて卒業した青年は、オイルショックで就職厳しいな〜とバイトの延長でモツ焼き修業を始める。休日は地元・千葉で大好きな釣りざんまい。 

 4年後、そんなモラトリアムな青年に、「やるときゃやれよ」と神の啓示のごとく言ったのはなじみの釣り具屋の店主だった。

 ちょうど修業先そばに物件もあり、貯金と親の支援で開業する。

 「師匠のモツ焼き屋とかぶらないように」と魚料理も学びめでたく繁盛。

 とまあここまではありそうな話。

 ふと、煮込みが4種もあるのに気がついた。調理担当は奥様らしい。夫婦円満二人三脚の店は長く続く。いい店の法則だ。

 人気ナンバー1煮込みは「牛スジトマト煮」。圧力鍋で煮込んだスジ肉にほくほくの人参(にんじん)とじゃが芋。ナンバー2は「豚すじ煮」。

 黄金色のスープと軟らかな豚のすじをほおばった瞬間、わしは初体験の味に打たれた。塩こしょうベースに爽やかな酸味。…なんだこのうまさは。

 「酢をつかったアドボというフィリピン料理なんですよ」とマスター。洋風に続き東南アジアか。

 「じつは奥さんはフィリピン人なんです」。ナルホド!

 なれそめを聞こうとしたところで、若いキラキラ女子2人組がやってきた。「あ、1人はうちの娘です」

 いい店の法則、愛娘が女友達を連れて食事に来る店は味が確かな三ツ星。

 夜のとばりが下りる頃、わしは宝焼酎90ミリリットル入りのホッピー3杯でいい気分。店内はすっかり満席だ。

 今日は新人バイトが入ったらしい。ネイマール似の男前だと思ったらスリランカ人だった。

 いい店の法則3つ目は、料理も人もボーダーレス。

 進化を続け今や品書き100種超えの15坪のモツ焼き屋に国境はなかった。

 新作、スリランカ料理の誕生も待ってまーす。(さくらい よしえ)

 ◆かね将 五反田の超人気店。定番のモツ焼きのほか、釣りが趣味という店主の金子章治さん(62)が、築地で選んだ魚介類も並ぶ。煮込みなどの仕込みはアリシア夫人(52)も手伝っている。自家製さつま揚げは金子さんのオススメ。ほかに生野菜のドレッシングなどこの店ならではの味付けが光る。店で働くスタッフも個性派ぞろい。中には総合格闘技の選手も。1人飲み用にハーフサイズのメニューも用意されている。東京都品川区西五反田2の6の1。(電)03(3495)4677。営業は午後4時半から11時半。年中無休。

 ◆さくらい よしえ 1973年(昭48)大阪生まれ。日大芸術学部卒。著書は「東京★千円で酔える店」(メディアファクトリー)、「今夜も孤独じゃないグルメ」(交通新聞社)「にんげんラブラブ交叉点」(同)など。

[ 2017年5月12日 12:00 ]

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