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【コラム】戸塚啓

東アジアカップの論点

[ 2013年7月11日 06:00 ]

 再開されたJリーグで、代表候補と呼ばれている選手がのきなみ結果を残している。

 7月20日開幕の東アジアカップは、海外組が招集されない。その一方で、8月以降のテストマッチはこれまで同様の編成が可能となる。国内組と呼ばれるJリーガーにとって、東アジアカップは最初で最後のチャンスになるかもしれない。この時点でメンバーに引っ掛からないようでは、来年のブラジル・ワールドカップ出場がかなり厳しくなる。

 そうした現実を踏まえれば、国内組の目の色が変わるのも必然だ。選手側からは「目の前のゲームに集中する」といった声が聞こえてくるが、誰もが「いつやるか? いまでしょ!」と思っているはずだ。

 いまやらなきゃいけないのは、ザックも同じである。

 国内組の大量招集が見込まれることで、今回の東アジアカップは誰が選ばれるかに焦点が集まっている。15日のメンバー発表後は、「誰がどんな活躍をするか」に興味が移っていくだろう。これまでのところ、結果は置き去りにされている。

 15日のメンバー発表から6日後の21日に、日本は中国との開幕戦を迎える。トレーニング期間は少ない。だからといって、選手の見極めがすべてではないだろう。セレッソの勝利は柿谷の、広島の勝利は佐藤寿の、鳥栖の勝利は豊田の「猛烈アピール」と伝えられるが、東アジアカップはそうもいかない。結果が出なければ、監督の責任が問われるのは当然である。

 ザックが指揮してきたゲームを振り返ると、選手交代が効果的に作用したゲームは少ない。先のコンフェデ杯においても、追いかける展開のメキシコ戦で交代枠の二つをDFに使っている。だからといって守備的にシフトしたわけではないが、追撃の勢いが増したとは言えない。勝利を目ざす意味において、実効性に乏しかった。

 準備期間が少ないとはいえ、国内組にも代表の常連はいる。GK西川、CB伊野波、栗原、ボランチ高橋、トップ下中村憲、1トップ前田と、センターラインにザックのコンセプトを知る選手を揃えることができる。

 できる限り多くの選手にプレー時間を与え、なおかつ結果を残すことができるのか。ザックの采配もまた、東アジアカップの論点だ。(戸塚啓=スポーツライター)

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