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【コラム】戸塚啓

オーストラリア戦を前に ザッケローニ監督は、なぜ3-4-3を試したのか

[ 2013年5月31日 06:00 ]

<日本・ブルガリア>ザッケローニ監督(右)の指示を聞く長友
Photo By スポニチ

 もし自分が、オーストラリア代表のホルガー・オジェック監督だったら。ブルガリア戦をどのように見ただろう。ザックことアルベルト・ザッケローニ監督が、なぜブルガリア戦で3-4-3に取り組んだのかを考えるだろう。

 最終予選終了とともに、日本はコンフェデレーションズカップに出場する。ブラジル、イタリア、メキシコといった世界の一線級とのゲームに向けて、3-4-3というオプションの精度を高めようとしたのか? それにしても、なぜこのタイミングで?

 最終ラインに栗原を加えた3バックは、高さと強さを肉付けすることができる。空中戦への備えが増す。となると、オーストラリア対策と受け取れないこともない。

 日本がベストメンバーで3-4-3にトライし、後半も同じフォーメーションで戦っていたら、オーストラリア戦を想定したものという認識は強まる。ところが、ブルガリア戦には本田、岡崎が合流していない。長友や清武は、4-2-3-1へ修正した後半からの出場だった。

 過去にも同じようなことがあったのか?

 最終予選の開幕戦を直前に控えた昨年5月のアゼルバイジャン戦は、使い慣れた4-2-3-1でキックオフを迎えた。控え選手が次々と送り込まれた後半も、フォーメーションは変わらなかった。

 ザックにしてみれば、しばらくトライしていない3-4-3を試すことのできる、貴重なタイミングだった。オーストラリア戦で最終予選突破が決まらないと、イラク戦も必勝態勢で臨まなければならない。対戦相手がランクアップするコンフェデ杯で使えるかどうかを確認する機会として、ブルガリア戦は最初で最後の実戦だったと言える。

 ザックが何を考えているのか、オジェックもおよそ整理はできているに違いない。それでも、4-2-3-1で挑んでくることを前提としつつ、3-4-3を頭に刻んだはずだ。対策を講じる。6月4日までに、ブルガリア戦の日本代表を様々な角度から分析していくだろう。

 ザックがそこまで考えて3-4-3を使っていたら──戦前の心理戦で、日本は一歩リードを奪ったことになる。(戸塚啓=スポーツライター)

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