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【コラム】戸塚啓

ACL開幕 タフさが求められる

[ 2011年3月3日 06:00 ]

ACL初戦で上海申花と引き分け、肩を落とす鹿島イレブン
Photo By 共同

 3月1日、2日に行なわれたAFCチャンピオンズリーグ(以下ACL)は、ホームとアウェイで対照的な結果が残った。大阪で戦ったガンバとセレッソが勝ち点3をつかんだ一方で、中国へ乗り込んだ名古屋と鹿島は勝利を逃している。鹿島は勝ち点1を持ち帰ったが、名古屋は黒星スタートとなってしまった。

 ゼロックス杯を戦った名古屋と鹿島は、中2日のアウェイゲームというタイトなスケジュールに直面した。ゼロックス杯が試合勘を取り戻すきっかけになったものの、ACLがいきなりアウェイとは巡り合わせが悪い。個人的には気の毒な印象を抱く。

 杭州に0-2で敗れた名古屋は、内容的にも物足りなさを残した。序盤からペナルティエリア内からシュートを許す一方、名古屋はエリア外からのシュートが多かった。ケネディが激しいチェックを浴び、彼を起点とする攻撃がなかなか成立しなかったのが原因である。

 後半はエリア内への侵入が増え、前半を上回る8本のシュートを浴びせた。しかし、決定機は半分にも満たない。攻撃は連動性に乏しく、闘莉王と増川のボールタッチ数は前後半を通じて非常に多かった。センターバックにボールを下げざるを得ないシーンが、それだけひんぱんにおこっていたということである。杭州の2点目はクロスがそのままゴールインしたようにも見えたが、勝利をつかむのが難しいゲームだったのは間違いない。

 セレッソ大阪も苦しんだ。グループ内でもっとも力が落ちるアレマ・インドネシアに、ホームで2-1の辛勝である。

 ミスの多いゲームだった。とりわけ前半は、味方を置き去りにしてしまうような形で、何度となくボールを失っていた。14分の先制ゴールは理想的なショートカウンターから奪ったものだが、前半のシュート数は6本にとどまる。アレマ・インドネシアがブロックを築いていたとしても、相手守備陣を翻弄するための運動量も工夫も足りなかった。

 攻撃が活性化したのは、後半が20分を過ぎたあたりからだ。局面を打開するための手段が、力ずくのミドルシュートからペナルティエリア内でのフィニッシュへ変わっていく。相手GKをはっきりと慌てさせられるようになる。決勝点は直接FKが起点となったが、後半の流れがスコアに反映された末の勝利だった。

 4試合に共通するのは、Jリーグとの判定基準の違いである。ホームタウンデシジョンを感じさせるホイッスルがあれば、ホームにも厳しいジャッジも見受けられる。
だからといって、ジャッジを言い訳にはできない。Jリーグの基準を持ち込めないことがはっきりしている以上、ACL仕様の戦いに切り替えなければ落伍する。先のアジアカップと同じように、あらゆる意味でタフさが求められる大会となるだろう。(戸塚啓=スポーツライター)

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