【コラム】戸塚啓

ダ・ゾーン効果 日本サッカーは違うフェーズへ

 ルーカス・ポドルスキのヴィッセル神戸合流に先駆けて、サガン鳥栖にW杯プレーヤーが加わった。2014年のW杯ブラジル大会に出場した、コロンビア代表のビクトル・イバルボである。

 日本での知名度は、それほど高くない。W杯ブラジル大会の日本戦に出場しなかったからだろう。ここ数年はクラブレベルでふるわないことも、イバルボの名前が極東で響いていない理由にあげられる。

 それでも、ポテンシャルは高い。1メートル88、79キロのサイズは重量感があり、それでいてスピードに溢れている。何よりも、まだ26歳だ。フットボーラーとしてのキャリアはピークのずっと手前である。カリアリ在籍時に監督と選手の関係にあったマッシモ・フィッカデンティのもとで、ポテンシャルを開放する可能性はある。

 中国Cリーグには及ばないものの、Jリーグにも欧州や南米から代表クラスがやってくるようになっている。『ダ・ゾーン』による配分金の増加が、こうした投資を後押ししているのだろう。

 世界のトップクラスがJリーグでプレーすれば、リーグの競技力が向上する。マッチアップする日本人選手は刺激を受け、観戦する子どもたちの瞳が輝く。Jリーグという舞台が、誰にとっても眩しくなっていく。

 ただ、もう少し長い尺度の投資が話題にならないものか、と思う。「育成に定評のある欧州のクラブから、Jリーグのクラブがアカデミーのコーチを招聘した」といったニュースに触れたいのだ。

 均等配分金ではなく傾斜配分金が各クラブに届けられる来年以降は、Jクラブ間の移籍の活発化が予想される。獲るクラブと獲られるクラブの色分けが、鮮明になっていくかもしれない。

 獲られる立場のクラブは、育成の力が問われる。トップチームにつながる選手をアカデミーからどれだけ輩出できるのかが、安定した成績を残す要素になっていく。そのためにも、アカデミーの指導者の充実が欠かせないはずだ。

 資本力を持つクラブにしても、育成を停滞させていいはずはない。アカデミーを骨太にしていくのは、どのクラブにも共通する未来へのテーマだ。育成に優れた人材を海外から招くことの限らず、ジュニアユースやユースの指導者の待遇をより良いものにしたり、寮を造るとか食事を提供するといったオフザピッチの環境を充実したりすることにも、これまで以上に力を注いでほしいのだ。

 それによってクラブごとのカラーが鮮明になり、「あの選手はあのチームのアカデミーで育っているね」といった会話があちらこちらで成立するようになれば、日本サッカーは違うフェーズへ進んでいく。トップチームの強化はもちろん大切だが、5年後、10年後を見据えた投資を加速させてほしいのである。(戸塚啓=スポーツライター)

[ 2017年3月17日 14:45 ]

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