×

ラグビー代表に感じた人気UPへの当事者意識、サッカー界は…

[ 2015年10月28日 10:00 ]

W杯から帰国。大勢のファンの出迎えに笑顔の(左から)五郎丸ら日本代表フィフティーン

 ショックを受けた。普段はサッカーを担当しているが10月13日、W杯イングランド大会の1次リーグで史上初の3勝を挙げたラグビー日本代表の帰国会見を「ヘルプ」の1人として取材した。会見では全選手がコメントしたが、一様に「日本ラグビーを盛り上げていきたい」と口をそろえた。

 その姿勢はその後の取材エリアでも現れていた。とにかく選手がしゃべるしゃべる。記者の質問が途切れてもその場を去らない。もっと聞いてくれとでも言わんばかりに。逆に記者の方が気を遣って、質問をひねり出している場面もあった。30分以上そのエリアにいた選手もいた。

 受け答えも丁寧。こちらが恥ずかしくなるほど「社会人」だった。全員に日本ラグビー界を背負う姿勢。マイナースポーツと言われるラグビーの“露出”を増やしたいという姿勢が垣間見えた。チーム歳年長のロックの大野が会見で発した「ブームを文化に」という言葉を全員が体現していた。

 翻ってサッカーはどうか。残念ながらその姿勢は望めない。“取材し放題”のラグビーでは1日(実際には2時間程度)でコクヨ製のキャンパスノート約10ページを費やしたが、サッカーでは日本代表活動中でもその半分にも満たない日がほとんどだ。もちろん、シチュエーションの違いがあるため単純比較はできない。だが、その場にいたサッカー担当記者が“普段”との明らかな違いを感じていた。

 日本代表戦の視聴率も下がっていると聞く。Jリーグに至っては“バブル”を懐かしむ状況になって久しい。2ステージ制。チャンピオンシップの導入。経済的即効性のあるシステム変更ももちろん重要だろう。だが、もう少し足元を見た改革も必要ではなかろうか。W杯などの「結果」も、もちろん重要だ。ただ、少なくとも日本サッカー界を背負うという姿勢を協会、リーグ、クラブ、選手1人1人がもう少しでも持たなければ、今後の先行きは明るいとは言えない。(黒野 有仁)

続きを表示

2015年10月28日のニュース