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独黄金時代へ!新世代象徴ゲッツェがV弾 指揮官絶賛「神の子」

[ 2014年7月15日 05:30 ]

世界一だ!東西統一後初の優勝を果たしたドイツのイレブンはロッカールームでビールを手に大喜び(ゲッティ)

W杯ブラジル大会決勝 ドイツ1―0アルゼンチン

(7月13日 リオデジャネイロ)
 ドイツが延長の末にアルゼンチンを1―0で破り、旧西ドイツ時代を含め24年ぶり4度目、東西統一後は初の優勝を飾った。途中出場のマリオ・ゲッツェ(22=バイエルンM)が延長後半8分に決勝点を決めてマン・オブ・ザ・マッチに選ばれた。南米開催の大会を欧州勢が制したのは初。次回18年大会はロシアで開催される。

 ロッカールームはどんちゃん騒ぎだ。レーブ監督がビール瓶を手に雄叫びを上げる。公式スポンサーの製品ではない自国のビールも持ち込み、黄金のトロフィーを囲む祝宴は盛り上がった。メルケル首相まで無邪気な笑顔で世界一の余韻に浸った。ラーム主将は「世界最高の選手がいるかどうかは関係ない。大事なのは最高のチームだってこと」とチームで勝ち取った優勝であることを強調した。

 フィナーレの主役はゲッツェだ。0―0の延長後半8分、ゴール前に走り込みシュールレの左クロスを胸トラップ。左足ボレーで逆サイドに突き刺した。ヒーローは「信じられない。ゴールを決めてすぐには何が起きたか分からなかった。試合後はチームでパーティーをやっているようだった。夢が現実になった」と興奮を隠さなかった。

 後半43分、クローゼに代わって1トップへ。レーブ監督から「おまえがメッシより優れた選手だということを、世界中に見せてこい」と送り出され、大先輩クローゼには「おまえならやれる」と鼓舞された。後半46分にミドルを放った後は、決定機に絡めなかったが、土壇場で大仕事。指揮官は「彼は神の子だ」と絶賛した。

 新生ドイツの象徴だ。00年欧州選手権1次リーグ敗退を契機にドイツ協会は若手育成の改革に着手。毎年1000万ユーロ(約13億8000万円)をつぎ込み年代別代表を強化した。01年にはブンデスリーガの全クラブにユースアカデミーの設立を義務付け、10年間で総額7億ユーロ(約970億円)を投じた。ゲッツェはその“1期生”で8歳からドルトムントのアカデミーで育った。元ドイツ協会テクニカルディレクターでバイエルンMのマティアス・ザマー・スポーツディレクターは「ドイツ史上最高のタレントの一人」と評す。1メートル76と小柄ながら高い技術を持つ素材が恵まれた環境で磨かれた。

 今大会は3戦目で先発落ちし準決勝は出番なしと不本意な試合が続いただけに「簡単な大会ではなかった。家族や恋人の支えが大きかった」と感慨ひとしお。熱愛中のモデル、アン・カトリン・ブロンメルズ(24)と抱擁し喜びを分かち合った。

 ゲッツェ、シュールレらは90年10月の東西統一後に生まれた新世代。「ゲルマン魂」と呼ばれる勝利への執念に加え、柔らかなテクニックを備え多様な戦術にも対応する。若い才能がドイツの新たな黄金期を支えていく。

 ◇マリオ・ゲッツェ 1992年6月3日、ドイツ・バイエルン州生まれの22歳。09年ドルトムントのトップチーム昇格。10~11年から2シーズン、香川真司と一緒にプレーした。13年バイエルンM移籍。今季リーグ戦成績は27試合10得点。U―15から各年代の代表に選出され、10年11月の親善試合スウェーデン戦に招集され18歳でA代表デビュー。国際Aマッチ通算36試合11得点。1メートル76、64キロ。利き足は右。

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