365日 あの頃ヒット曲ランキング 9月

【1977年9月】愛のメモリー/受賞も見向きもされなかった松崎しげる CMで大ヒット

[ 2011年9月24日 06:00 ]

 ★77年9月ランキング★
1 ウォンテッド/ピンク・レディー
2 帰郷、お化けのロック/郷ひろみ
3 愛のメモリー/松崎しげる
4 憎みきれないろくでなし/沢田研二
5 コスモス街道/狩人
6 思秋期/岩崎宏美
7 遠慮するなよ/清水健太郎
8 渚のシンドバッド/ピンク・レディー
9 だけど…/高田みづえ
10 イミテーション・ゴールド/山口百恵
注目九月の雨/太田裕美
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【愛のメモリー/松崎しげる】

 CMソングの力をまざまざと見せつけた名曲である。77年、後に夫婦となる俳優の三浦友和と歌手の山口百恵が出演した、グリコ・アーモンドチョコレートのCMのバックで流れた、壮大なスケールを感じさせる曲と歌声に問い合わせが殺到。急きょレコード化された、松崎しげるが歌う「愛のメモリー」は7月に発売されると、ジワジワ売れ出し、計49万枚をセールス。レコードにならないCMの歌ばかりを歌って食いつないでいた松崎が一躍スターの仲間入りを果たした。

 もともとのタイトルは「愛の微笑」。スペインで行われたマジョルカ音楽祭に出場することになった松崎に用意された曲で、参加の数日前に出来上がったものだった。歌唱力には定評のあった松崎は、短い時間でこの曲をマスター。実力者が集う大会で見事第2位の評価を得て、最優秀歌唱賞を受賞した。

 意気揚々と帰国した松崎だったが、受賞を採り上げたマスコミはほとんどなく、これをレコード化しようとしても見向きもされなかった。自らデモテープを持って関係者を当たっていたところ、大阪のCMプロデューサーが興味を持ち、これをグリコに売り込んだところCMへの採用が決定。ヒットへの糸口をつかんだ。

 松崎念願の大ヒットには結びついたが、今度はそれが問題にもなった。当時、民放の番組主題歌やCMソングに厳しい制限を設けていたNHK「紅白歌合戦」へ出場するには、「愛のメモリー」は都合が悪かった。そこでCMは、松崎の歌っている部分を削除し、音楽だけのインストゥルメンタルにして放映。この苦肉の策が奏効し、松崎は第28回紅白に初出場を果たした。

 さらに元高校球児だった松崎を大喜びさせたのが、第50回春の選抜高校野球大会の入場行進曲に「愛の…」が選ばれたことだった。開会式に招待された松崎は、思わず落涙。甲子園出場という夢を別の形でかなえてくれた曲に感謝した。

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